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新規投資額は3兆円弱、半分弱をヘッジ外債に=かんぽ生命・18年度運用計画

2018年04月25日(水)17時15分

 4月25日、かんぽ生命保険が発表した2018年度の資産運用方針によると、海外社債などクレジット物を中心に為替ヘッジ付外債を積み増す。写真は都内で昨年1月撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

[東京 25日 ロイター] - かんぽ生命保険<7181.T>が25日発表した2018年度の資産運用方針によると、海外社債などクレジット物を中心に為替ヘッジ付外債を積み増す。オルタナティブも海外不動産ファンドなどを中心に増加予定。オープン外債は横ばい計画だが、想定為替レンジ内の円高局面では機動的に投資していく方針だ。国内株も横ばい。一方、低金利が続く中、日本国債など円金利資産は減少計画となっている。

<ヘッジ外債も分散>

今年度の新規投資額は3兆円をやや下回る程度となる見通しだ。そのうちヘッジ外債には全体の半分をやや下回る程度を配分するとしており、1兆円超の投資が予想される。残りは円債とオルタナティブになるが、円債への比率が多いという。

ヘッジ外債は、ドルのヘッジコストが高止まりしているため米国債は避け、米社債などの中からクレジット・スプレッドが開いている(高い利回りが期待できる)資産に投資する方針だ。ただ、全体的にスプレッドのタイト化も進んでいることから、イベントリスク等に備え「分散していく」(運用開発部長の春名貴之氏)という。

一方、ユーロ圏への為替ヘッジ付き国債投資については、為替スワップでプレミアムが乗る(上乗せ金利が得られる)通貨もあり、円金利との相対比較の中で機動的に投資していく方針だ。

円金利資産は、償還分を差し引くと残高は減少となる計画。低金利環境が続く中では、デュレーションを維持する投資を行う程度だという。ただ、金利が上昇する局面では機動的に投資するとしており、運用企画部長の浅井重明氏は「30年物国債金利で1%がデュレーション長期化のめどになる」との見方を示している。

<オープン外債、ドル105円割れで検討も>

オルタナティブは17年度に続き、今年度も増加させる。昨年度はファンドオブファンズなど比較的安定したリターンが期待できるヘッジファンドに投資してきたが、今年度はプライベートエクイティや海外の不動産ファンドなどに投資する。

中期的にオルタナティブは総資産の1%程度を目指す方針としていたが、今年度からスタートする新中期計画では3年目で総資産の1.5%を目指す方針に「上方修正」される見通しだ。今年4月から「オルタナティブ投資室」も設置しており、積極的な運用が続いている。

オープン外債については横ばいの方針だ。「円安が大きく進む状況ではなく、1ドル100円を割り込むような状況でもない。想定レンジ内で推移する中で、(ドルが)下に行けばポジションを増し、上に行けば減らすイメージ」(運用企画部担当部長の福嶋亮介氏)という。今年度の想定レンジは100─120円となっている。

浅井氏は「1ドル105円を下回ってきて、そのままずるずる円高が進むことなく、早期に戻ることが想定されるような局面になれば、(オープン外債の)積み増しも検討する」との考えを示している。

<国内株は抑制的>

国内株に関しては、今年度は横ばい計画だが、相場が調整局面を迎えるような場合には追加投資を行っていくという。前年度までは安定配当が期待できる銘柄を中心に投資してきたが、今年度からはグロース株投資も始める方針だ。ただ「日米の景気サイクルが終盤を迎えつつある中、資産価格はやや割高だ。抑制的に臨む」(浅井氏)としている。

米長期金利が3%を超えてきたことについて福嶋氏は「金利上昇自体は投資機会が増えることになるが、企業にとってはコストも増してくるし、金利上昇のスピードが速すぎれば景気後退の可能性も高まる。金利上昇のスピードに応じて投資戦略をどう立てていくかが今年度の課題」と話している。

*運用方針の概要

17年度実績 18年度計画

円金利資産 減少 減少

ヘッジ外債 増加 増加

オープン外債 減少 横ばい

国内株 増加 横ばい

オルタナティブ 増加 増加

*2018年度の相場見通し

日本国債10年物利回り ▼0.1―0.4%(年度末0.1%) 米10年国債利回り   2.6─3.2%(同3.0%) 日経平均        2万0000─2万5000円(同2万3000円)

米ダウ         2万2000─2万6000ドル(同2万5000ドル) ドル/円        100―120円(同110円) ユーロ/円       130―150円(同140円)

(伊賀大記 編集:田中志保)

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