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公取委、長崎の地銀統合で抜本策なければ排除措置を検討=関係筋
[東京 18日 ロイター] - 公正取引委員会は、経営統合を検討しているふくおかフィナンシャルグループ(FFG)<8354.T>と十八銀行<8396.T>に対し、長崎で発足予定の新銀行のシェアを引き下げるための実効的な措置を講じない限り、統合を認めず、独占禁止法に基づく排除措置命令を出す方向で検討に入った。事情に詳しい関係者が明らかにした。
公取委は、来週にも両社に対し、長崎県内の事業者を対象に実施した2回目のアンケート結果の概要を伝えることにしており、その際にこうした方針が示される可能性がある。排除措置命令は、独禁法違反と認定した事業者に対して公取委が出す命令。この命令が出ると、FFGと十八銀は経営統合できなくなる。
FFGと十八銀は、2016年に経営統合を発表。FFG傘下の親和銀行と十八銀が合併する計画が打ち出されたが、ともに長崎県を地盤とする両行が合併すると新銀行の県内貸し出し比率が7割超に上ることから、公取委が承認せず、両社は統合の無期限延期に追い込まれている。
公取委は、両行の要請を受け、長崎県の事業者約4400社を対象にアンケート調査を実施。しかし、16年5月に約3000社を対象に行った1回目と結果に大差はなく、利用者から圧倒的なシェアの新銀行の登場で、代替的な貸出先の選択肢がなくなるとの懸念が示された。
公取は、両行が問題解消措置を講じなければ、長崎における競争環境が阻害されるとの判断に至ったもようだ。
FFGと十八銀の統合計画を巡っては、金融庁の有識者会議「金融仲介の向上のための検討会議」が11日に報告書を公表。経営余力のあるうちに、速やかに統合を認めるよう求めた。
しかし、現行の独禁法の枠組みでは、金融庁が企業結合審査のプロセスに参画することはできない。
FFGと十八銀は、解決策として長崎県内での貸し出しシェアを引き下げるため、保有債権を別の金融機関に譲渡することを検討している。債権譲渡の規模を積み上げ、新銀行のシェア引き下げに実効的と認められれば、排除措置命令を回避することができる。
しかし、債権譲渡が不調に終わった場合、FFGと十八銀は統合計画を取り下げるか、公取委の排除措置命令を不服として、行政訴訟を起こすかの選択を迫られることになる。
公取委の担当者は「現在審査中の事案のため、コメントを差し控える」としている。
(和田崇彦 編集:田巻一彦)