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オープン投資継続、ヘッジ外債は減少=18年度・富国生命運用計画
4月16日、富国生命保険の2018年度の一般勘定の運用方針では、オープン外債へのシフトを継続する。写真は豪ドル紙幣、2月撮影(2018年 ロイター/Daniel Munoz)
[東京 16日 ロイター] - 富国生命保険の2018年度の一般勘定の運用方針では、オープン外債へのシフトを継続する。帳簿価格ベースで2200億円の増加になる見通し。ドルのヘッジコストが高止まりしているためで、米国債投資を抑制し、オーストラリア債やカナダ債などドル資産以外への通貨分散を引き続き行う。円債は減少、国内株はリバランスを実施する。
渡部毅彦・取締役執行役員・財務企画部長が16日、ロイターとのインタビューで述べた。
<100円割れでは動じず>
今年度のドル/円の想定レンジは98─116円。100円を割り込む可能性も予想しているが、レンジ内で円高が収まるならば、オープン外債への投資を抑えることはないという。「むしろドルが安くなったとみて、ドルを買いに行く」と渡部氏は話す。
「具体的な為替水準は想定していないが、地政学リスクや米財政悪化を要因とした米金利急上昇などによって、(リスクオフの)円高が想定レンジを大きく抜けていくような場合に、為替ヘッジを高めていく」(渡部氏)という。
財務の健全性を測るソルベンシーマージン比率を計算するうえで、ヘッジ付外国債のリスクウエートは日本国債と同じゼロだが、オープン外債投資は10%に高まる。ヘッジコストが要らないため利回りは高いが、その分、為替リスクを抱えることになる。
リスクを適切に管理することが必要になってくるため、同社では今年度からリスク管理部門を独立させた「財務審査室」を新設。さらに為替だけでなく、株式などのヘッジも総合的に行う専門グループも立ち上げ、機動的なヘッジを行う体制を整えた。
17年度(以下、全て実績見込み)はオープン外債が4200億円増となったのに対し、ヘッジ外債は3100億円の減少となった。今年度は、オープン外債投資が2200億円の増加。ヘッジ外債が1100億円の減少を見込んでいる。
<クレジット投資枠を新設>
富国生命では、収益性の高い資産を5年間で5000億円程度積み増す中期目標を建てている。初年度となった昨年度は約1200億円を積み増した。「運用計画時の想定リターンを1%ポイント上回るような資産に投資していく」(渡部氏)という。
過去の円高時に投資した高収益のオープン外債の残高が2020年以降に減少していくことから、マイナス金利の影響が大きくなる恐れがあるためだ。
高収益資産投資の中心となるのが、外国社債などクレジット資産への投資。昨年9月に、米国の投資顧問会社「ペイデン&リゲル」と提携し、海外クレジット投資の一部を運用委託した。社内でもクレジット投資を所管する「財務投資部」を新設した。
今年度は、クレジット資産(除く一般貸付)の投資枠を新設、300億円の積み増しを目指す。
ドル以外の通貨分散も引き続き図っていく方針だ。16年度末時点では、外貨中のドル比率は75%だったが、17年度末時点で69%に低下。一方、グリーンボンドなどテーマ性のある債券に投資するなかで、オーストラリアドルとカナダドルがそれぞれ6%程度から10%程度に上昇した。
<円債は引き続き抑制>
円貨建て公社債は今年度400億円の減少計画と前年度と同じ。日銀による現行の金融政策の継続が見込まれる中、低金利環境が続くと予想。30年国債で1%を下回るような環境の下では、積極的な投資は難しいという。
国内株は前年度の横ばいに対し、今年度は100億円の減少の計画だ。株高で時価評価額が大幅に増加した銘柄の一部を売却し、リバランスを行う。「景気は悪くないが、株価は上値が重くなっている。緩やかな株高を見込んでいる」(渡部氏)という。
海外株は前年度と同じ400億円の増加計画。ファンドを含むため、外国社債の外部委託とエクイティが半々となる見通しだ。
一般貸付は前年度と同じ300億円減の計画。不動産も前年度と同じ横ばい。運用計画全体では、700億円の増加(前年度は800億円増)となっている。
(伊賀大記 富沢綾衣 編集:佐々木美和)