ニュース速報
ビジネス
欧州市場サマリー(15日)
[15日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 小幅反発して取引を終えた。4営業日ぶりにプラスへ転じた。金融やヘルスケア、鉱工業銘柄が買われ相場を下支えした。
一方、英蘭系日用品大手で英国内第3位の規模を誇る大手企業のユニリーバは1.7%下落。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を約1年後に控える中、英・オランダ2カ国に置く本社をオランダのロッテルダムに統合すると発表した。ロンドン株式市場への上場は続けるという。FT100種の構成銘柄から外されるかどうかはまだ定かでない。
中型株では、日用品のPZカソンズが16.3%急落し、過去最大の落ち込みを記録した。通期利益について軟調な見通しを示したことが嫌気された。
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。業績見通しの期待が高まった保険などが買われ全体水準を押し上げた。
STOXX欧州600種保険株指数は1.58%上昇。個別銘柄では再保険世界最大手のドイツ企業、ミュンヘン再保険が2.8%高となった。今年の利益見通しを引き上げたほか、10億ユーロ規模の自社株買いを実施する方針を示したことが好感された。イタリア保険大手ゼネラリは2.5%上昇。営業利益が過去最高となり、配当を引き上げたことが買い材料となった。
テクノロジー株指数は0.80%上昇した。
銀行株指数は0.59%上昇。欧州中央銀行(ECB)はこの日、ユーロ圏の銀行が抱える不良債権をめぐる新規則を発表した。不良債権への追加の引当金計上を義務付けるもので、4月1日に施行する。ただ、銀行は最長2021年まで猶予が与えられる可能性がある。 メディオバンカ・セキュリティーズは顧客向けのメモで「大方予想通りの内容だ。引当金を計上するまでの期間については、銀行にとってやや良い条件となった」と述べた。ユーロ圏の不良債権の3分の1近くを保有するイタリアの銀行株指数は1.39%上昇した。
一方、フランスの銀行大手ソシエテ・ジェネラルは0.7%下落した。取引時間中は4.3%安と、2カ月超ぶりの安値をつける局面もあった。ディディエ・ヴァレ副最高経営責任者(CEO)の退任を発表。「法的問題の扱いをめぐって対応に相違が生じた」と説明した。関係筋によると、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作の捜査をめぐり意見が対立した。
<ユーロ圏債券>国債利回りが低下。政治的不透明感や貿易戦争勃発への懸念、さらに欧州中央銀行(ECB)がゆっくりとしたペースで緩和解除を進めるとの観測からリスクオフの展開となった。
INGの金利ストラテジスト、ベンジャミン・シュレーダー氏は「前日のECB当局者による慎重な発言、米国が貿易戦争を引き起こすとの懸念、トランプ米大統領による閣僚刷新、さらにイタリアでの大衆迎合主義政党の政権入りを巡る報道などが利回り低下を主導している」と指摘。「これらすべての要因がリスクオフ心理を誘っている」と述べた。
大半の債券利回りは1-3ベーシスポイント(bp)低下。
独10年債は0.57%に低下し、7週間ぶりの低水準をつけた。
仏10年債、オランダ10年債も1月以来の水準に低下した。
こうした中、同日実施されたスペインとフランスの国債入札では堅調な需要がみられた。
イタリアの政情が注目されている。
欧州連合(EU)懐疑派である右派政党「同盟」のサルビーニ党首は前日、「五つ星運動」との連立が可能であるとの考えを示した。今月初めの総選挙を受けて主要勢力による連立政権樹立に向けた駆け引きが続く中、これら2党の枠組みで新政権が誕生する可能性が高まった。
総選挙後、イタリア・独債の利回り格差は比較的安定的に推移しているものの、イタリア債は他の南欧債をアンダーパフォーム。
10年物のイタリア・スペイン国債の利回り格差は61bpで、3週間ぶりの高水準に迫る。ポルトガル国債の利回り格差も21bpと、7週間ぶりの高水準をつけた。
ミズホの欧州金利主任ピーター・チャットウェル氏は、偏向する政党による連立政権誕生の確率はなお低いとしつつも、「イタリアを巡るテールリスクは高まっている」との認識を示した。