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トヨタ、全組合員が月3.3%賃上げ ベア前年1300円超の水準
3月14日、トヨタ自動車の2018年の春季労使交渉(春闘)は、正社員のベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分が前年実績の月額1300円を上回る水準で決着した。2017年11月撮影(2018年 ロイター/Mike Blake/File Photo)
[豊田市 14日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>の2018年の春季労使交渉(春闘)では、正社員のベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分が前年実績の月額1300円を上回る水準で決着した。具体額は非公表。正社員だけでなく期間従業員や定年後の再雇用者を含む全組合員の月収昇給率は平均3.3%で、安倍首相の要請である「賃上げ3%以上」を上回った。
上田達郎専務役員は14日、記者団に対し、首相の要請に応えたかとの問いに「日本の経済発展やものづくりに貢献したいとの思いはどこの企業よりも強い」として3.3%を回答したと説明。また、30―40歳代など「組合員の将来不安が強く、貯金するだけで消費になかなか結び付かない」状況を受け、定年前と同じ処遇で働ける再雇用者数を「増やしたい」と述べた。再雇用者全体のうち定年前と同処遇の人の比率を今年は前年比20%増の5割以上、将来は8割以上にする方針を示した。
今回の春闘でトヨタは、正社員のみのベアの実額を公表せず、正社員、期間従業員、定年後の再雇用者を含む全組合員の月収の平均昇給額として1万1700円、昇給率を3.3%(昨年は約3%、一昨年は約2.4%)とした。正社員の賞与は満額回答の6.6カ月分を実施する。
上田専務は、公表方法を変更した背景について「ベアだけを回答しても、トヨタの関連企業全体(の賃金水準)を引き上げていくのが難しい」と指摘、関連会社との格差是正の点から今回の回答につながったと述べた。
さらに、これまで関連会社はトヨタのベア水準を見ながら自社の回答を決める傾向が見られたが、豊田章男社長は「それぞれの会社の競争力強化に向けた真剣な話し合いを阻害しているのではないか」とみているといい、各社が自社の競争力を議論した上で回答して欲しいとの思いから変更したという。今回の公表方法を今後も続けていきたい考えだ。
全組合員の昇給により人件費は約100億円増となる見込みだが、上田専務は、人件費増を負担と考えず、昇給が会社の競争力強化につながれば「ウィンウィン」になるとし、「コストと考えず、生きた投資にする」と話した。
トヨタ労働組合の西野勝義委員長によると、ベアの具体額は労組も共有しているが、「労使でその数字を公表しない」との約束を取り交わしたという。経営側の今回の回答方法については、100年に1度の大変革期とされる自動車業界で勝ち残るため、「すべての組合員でまい進していきたいという(経営側の)思いは理解できる」と語った。
*内容を追加しました。
(白木真紀)