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アングル:FRB、2月雇用統計で利上げ加速は遠のいたか
3月9日、米労働省が発表した2月雇用統計は、非農業部門雇用が前月比31万3000人の大幅増となり、労働参加率が上昇した半面、賃金上昇圧力は引き続き弱かった。写真はFRB本部。ワシントンで昨年5月撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)
[ワシントン 9日 ロイター] - 米労働省が9日発表した2月雇用統計は、非農業部門雇用が前月比31万3000人の大幅増となり、労働参加率が上昇した半面、賃金上昇圧力は引き続き弱かった。こうしたデータは、連邦準備理事会(FRB)内にあった米国は労働力が枯渇しつつあるとの疑念を払しょくした可能性がある。
まさに今回の雇用統計は、賃金が跳ね上がって物価が上振れるのではないかとの懸念を後退させ、米経済がまだ新規雇用を生み出せることを示唆している。
シンクタンクの経済政策研究センター(CEPR)のシニアエコノミスト、ディーン・ベーカー氏は「雇用統計は、労働市場の外にはまだ多くの労働力が存在しており、堅調な市場に反応して今後復帰するだろうという見方に沿った内容だ」と話した。
こうした結果を受け、FRBによる今月の利上げは一段と確実になったとはいえ、FRB内では将来の利上げペースは緩やかにとどめるのが妥当という判断への支持もさらに強まりそうだ。
インディード・ドット・コムのチーフエコノミスト、ジェド・コルコ氏は、2月の雇用増加について、気温低下やインフルエンザの流行に影響を受けた1月の反動という面はあったかもしれないにしても、「著しい力強さ」だったと評価。ブルーカラー部門がけん引し、製造業は今や経済全体をしのぐ拡大ペースになっていると付け加えた。
失業率は4.1%で横ばい。就業者数が増えた一方で、労働市場への新規参入も多くなったからだ。このため労働参加率は0.3%ポイント上がって63%になった。
まだ約670万人は失業している。しかし過去1年間で、働く意欲があるのに適切な仕事が見つからないからと職探しをあきらめた人の数は、30%近く減って37万3000人になった。
CEPRのベーカー氏は、労働参加率の上昇が、労働力人口の中核であるプライムエイジ(25─54歳)に集中していると指摘した。プライムエイジはこれまで労働市場への参加が鈍く、エコノミストや政治家にとって大きな懸念要素になっていた。
ベーカー氏は「これは労働市場になお相当なスラック(需給の緩み)があり、FRBが(利上げを)急ぐ理由が乏しいことを意味している」と話した。
FRBが注目している平均時給の前年比上昇率は2.6%にとどまり、経済政策研究所(EPI)のシニアエコノミストのエリス・グールド氏は「期待外れだ。完全雇用を宣言するのは引き続き時期尚早と言える」と述べた。