ニュース速報

ビジネス

米大型株式ファンドから巨額流出、貿易戦争の懸念で=米銀調査

2018年03月12日(月)14時52分

 3月9日、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)が9日に公表した週間調査によると、7日までの週に米国の株式ファンドから103億ドルが流出した。写真は8日、ニューヨーク証券取引所(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

[ロンドン 9日 ロイター] - バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)が9日に公表した週間調査によると、7日までの週に米国の株式ファンドから103億ドルが流出した。

そのうち101億ドルが大型株だった。トランプ米大統領が鉄とアルミニウムの輸入品に関税をかける方針を示して以来、同盟国や貿易団体から批判の声が上がっており、世界的な貿易戦争への懸念が浮上。国債やその他のより安全とされる資産に資金が流れ込んだ。

世界の株式ファンドからは4億ドルが流出した。

リスク志向が低下する中で、マネー・マーケット・ファンド(MMF)へ資金が流入し、MMFの総額は2兆9000億ドルと2010年以来の高水準となった。比較的安全な資産とされる金は4億ドルの流入となった。

米小型株は影響を免れた。同ファンドは小幅な流入となり、3000万ドルが流れ込んだ。

日本株は41億ドルの流入。14カ月連続でプラスとなった。流入が続いた期間は13年以来の長さだ。欧州株は1億ドルの流入だった。

トランプ大統領は8日、鉄鋼とアルミの輸入制限を正式決定した。カナダとメキシコを対象から当面除外したことで投資家の不安はいくぶん和らいだ。また、トランプ氏が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と会談するとの報道を受け市場心理が好転し、原油が値を上げた。

経済規模が大きい国の中で、米国への輸出の依存度が最も高いのは中国だ。米国の保護主義的な姿勢に最大の影響を受けるとみられる。BAMLは、香港ドルが米中貿易戦争の指標となると述べる。香港ドルは米ドル相場に固定している一方、経済は中国に大きく左右されるためだ。香港ドルはトランプ氏が輸入制限について発言して以来値下がりしており、9日は33年ぶりの安値を更新した。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中