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ドル一時106.94円、1週間ぶり高値

2018年03月09日(金)15時29分

 3月9日、午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場の午後5時時点からドル高/円安の106円半ば。一時106.94円まで上昇し、今月1日の海外市場以来1週間ぶり高値をつけた。写真は都内で2011年8月撮影(2018年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 9日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場の午後5時時点からドル高/円安の106円半ば。一時106.94円まで上昇し、今月1日の海外市場以来1週間ぶり高値をつけた。米国の輸入制限が懸念されたほど強硬なものではなかったこと、米朝首脳会談の開催方針が明らかになったことなどを受けて、ドル買いと円売りが同時に進んだ。

ドル/円は東京市場の序盤から堅調に推移。トランプ米大統領が発表した鉄鋼とアルミニウムに対する関税措置で、カナダとメキシコを対象外としたこと、それ以外の国も適用除外を申請することが可能となったことなどから、貿易戦争への懸念が後退する形でドルが買い戻され、円も軟化した。

その流れが勢いづいたのが午前10時前。米ホワイトハウスが、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長とトランプ大統領の会談を受け入れると発表したことで、ドルは一段高。円も広範に売られた。

みずほ証券チーフFXストラテジストの鈴木健吾氏は「地政学リスクは旬のテーマではなかったが、昨年はたびたびこの問題でリスクオフになったことを考えると、為替市場にも悪い話ではない。とりあえずは円安材料と言えそうだ」としている。

ただ、正午前に買いが一巡するとドルは106円半ばへ反落した。「現時点では(北朝鮮の非核化は)雲をつかむような話で、ポジションを膨らませるわけにもいかない」(外銀)との声があった。

<ECBは市場乱さずQE終了へ一歩前進>

海外市場で売られたユーロは東京市場で反発。前日、欧州中央銀行(ECB)理事会後のドラギ総裁会見がハト派的との見方から130.52円まで1.4円程度売られた後、きょう午前に米朝首脳会談の方針が伝わると、円が全面的に売られて131.60円まで1円超切り返した。

ECBは前日、声明から「必要なら債券買い入れを増額」との表現を削除。ユーロは声明発表直後に131円前半から後半へ急伸した。しかし、ドラギ総裁が削除は「後ろ向きの対応」などと説明したことなどから「堅調な景気拡大で緩和強化の必要性はそもそも後退していた」(SMBC日興証券)との見方が広がり、その後は一転してユーロが売られた。

それでも文言の削除で、ECBが「量的緩和終了に向けた一歩を踏み出した」(みずほ証券)のは事実。ドラギ総裁は急激なユーロ高などで市場を乱すことなく、政策変更に向けて動き始めたと言える。

ドル/円  ユーロ/ドル  ユーロ/円

午後3時現在 106.63/65 1.2313/17 131.31/35

午前9時現在 106.41/43 1.2305/09 130.95/99

NY午後5時 106.20/21 1.2310/14 130.76/80

(為替マーケットチーム)

ロイター
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