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物価2%「総仕上げ」に全力、必要なら追加緩和=黒田日銀総裁
3月2日、日銀の黒田東彦総裁は、政府による次期日銀総裁の再任案が国会に提示されたことを受け、衆院議院運営委員会で所信の表明と質疑を行い、再任された場合は「物価2%目標実現に向けた総仕上げに全力を尽くす」と強調した。写真は日銀本店で1月撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung Hoon)
[東京 2日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は2日、政府による次期日銀総裁の再任案が国会に提示されたことを受け、衆院議院運営委員会で所信の表明と質疑を行い、再任された場合は「物価2%目標実現に向けた総仕上げに全力を尽くす」と強調した。金融政策運営は、現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和(YCC政策)を粘り強く続けて行く方針をあらためて表明。物価2%達成前に現在の長短金利目標を変更する可能性があると述べる一方、必要があれば、さらなる金融緩和も検討すると語った。
黒田総裁は現任期の就任当初に打ち出した量的・質的金融緩和(QQE)やその後の緩和強化策などによって「物価が持続的に下落するという意味でのデフレでなくなった」とし、現在も日本経済は「デフレ脱却に向けた道筋を着実に歩んでいる」との認識を示した。
2日に発表された1月の完全失業率が2.4%に大きく改善したことは「やや驚くべき数字」と指摘。人手不足感の強まりが、現時点で「景気の制約になっているとは思わない」としながらも、中長期的には「潜在成長率の制約になり得る」との見解を示した。
もっとも、目標とする物価2%には依然として距離があるとし、金融政策運営は「現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和を粘り強く続けて行く」と強調。他方、現行の短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度とする金利誘導目標を「かたくなに変更しないということではない」と述べるとともに、「必要があればさらなる金融緩和も検討する」と語った。
欧米の中央銀行が金融政策の正常化に歩を進める中で、市場には日銀による長期金利目標の引き上げ観測もくすぶっているが、黒田総裁は「市場が金利上昇を催促しても、金利目標引き上げには慎重だ」とし、デフレ脱却過程の中で利上げを行えば「デフレマインド転換が遅れる恐れがある」と主張した。
ゼロ%台で着実にプラス幅を拡大させている消費者物価が1%に達したからといって「長期金利目標を引き上げていいとは思わない」と述べる一方、「2%が実現するまで金利目標が一切、変わらないわけではない」と語った。
金融緩和を縮小するいわゆる出口政策については、現時点で見通している「2019年度ごろ」に物価が目標とする2%に達すれば、「出口を検討、議論していくことは間違いない」としたが、物価2%が遠い現段階で出口政策を議論することは市場の混乱を招き、適切ではないと強調。「出口に差し掛かった段階で議論し、市場とのコミュニケーションを図っていくことになる」と述べた。
*内容を追加しました。
(伊藤純夫 竹本能文 編集:田巻一彦)