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米失業保険申請、45年ぶり低水準に迫る

2018年02月23日(金)01時32分

[ワシントン 22日 ロイター] - 米労働省が22日に発表した17日までの週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比7000件減の22万2000件だった。市場予想は23万件だった。

申請件数は1月中旬に21万6000件まで減り、1973年1月以来45年ぶりの低水準まで改善した。今回の数字もこれに迫る水準だ。2月に就業者数が底堅く伸びたことを示唆する。

19日が「大統領の日(プレジデンツ・デー)」の祝日だったため、カリフォルニアとハワイ、メーン、バージニア、ウェストバージニア、ワイオミングの6州が推計値だった。また、数カ月前にハリケーン「イルマ」と「マリア」によってインフラ設備が被害を受けた米領バージン諸島とプエルトリコでは依然としてデータ処理が正常業務に戻っていないという。統計に狂いが生じた可能性はあるが、依然として底堅い労働市場を示す基調を保っている。

RDQエコノミクス(ニューヨーク)の首席エコノミスト、ジョン・ライディング氏は「企業は従業員を解雇することを非常に躊躇している。代わりを探すのが大変だからだろう」と述べる。

新規申請件数は30万件を切ると労働市場が力強いとされるが、件数は155週連続でこの水準を下回っている。この期間は労働市場が今より小さかった1970年に記録して以来の長さとなる。労働市場はほぼ最大雇用状態にあり、失業率は17年ぶりの低水準となる4.1%だ。労働市場の引き締まりを背景に賃金は増加しており、物価は米連邦準備理事会(FRB)の目標である2%に向かう可能性がある。

21日に公表された1月30-31日の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨によると、メンバーらは景気見通しに自信を示し「労働市場が引き締まり続けることでいずれ賃金の増加ペースが加速するだろう」と判断した。

週ごとの変動をならし情勢をより正確に反映するとされる4週移動平均は2250件減の22万6000件だった。

今回の失業保険申請件数は、2月の雇用統計と調査期間が重なっている。申請件数の4週移動平均は1月から2月にかけての調査期間に1万7500件減少した。2月の雇用統計で就業者数が底堅く伸びたことを示唆する。

1月の雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門の就業者数が前月から20万人増えた。底堅い雇用統計は、3月にFRBが利上げする材料となる。FRBは今年3回利上げする見通しを示している。ただ1月の物価が底堅かったことを受けほとんどのエコノミストが4回利上げがあるとみている。

2週間以上手当を受けている失業保険受給者の総数は、10日までの週で7万3000人減の187万5000人だった。4週移動平均は1万6250人減の192万6500人。

ロイター
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