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日本経済の先行き、必要以上に悲観的になる必要ない=布野日銀委員
2月21日、日銀の布野幸利審議委員(写真)は、島根県・松江市で行われた松江支店開設100周年記念講演会で講演し、人口減少などの課題を抱える日本経済の先行きについて、アジア需要の取り込みや生産性向上などが期待できるとし、「必要以上に悲観的になる必要はない」と訴えた。写真は都内で2015年7月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 21日 ロイター] - 日銀の布野幸利審議委員は21日、島根県・松江市で行われた松江支店開設100周年記念講演会で講演し、人口減少などの課題を抱える日本経済の先行きについて、アジア需要の取り込みや生産性向上などが期待できるとし、「必要以上に悲観的になる必要はない」と訴えた。
布野委員は日本経済について、人口減少や生産性の鈍化などによって潜在成長率がすう勢的に低下し、最近ではゼロ%台後半にとどまっていると述べ、「このような成長率の低下が続いてきた経験に伴って人々の成長期待も低下しているためか、先行きの日本経済についても悲観的な見方が広く聞かれている」と語った。
もっとも、先行きを展望すれば「必要以上に過小評価する必要はなく、もっと前向きに考えてよい」と強調した。
その理由として、労働力人口の減少を背景に企業が労働環境の改善に努めているほか、政府も労働市場改革に取り組んでいることを挙げ、「女性や高齢者の労働参加が進み、労働力率は上昇傾向にある」と指摘。
人口減に伴う需要の減少についても「高成長が続いているアジア地域とわが国が近接していることは重要な視点」とし、「立地上の利点を活かして、アジア地域の需要の取り込みを、国内需要減少への対策とすることができる」と語った。
生産性についても「わが国経済を見渡すと、生産性を高める余地が大いにある」とし、インターネットの利用高度化や人口知能・ロボットの発展など新たな技術の普及が「生産や業務の効率化をもたらすだけではなく、新たな商品やサービスを開発し、提供することによって新規需要を掘り起こすことができる」と主張。
現在の消費と投資は増加の兆しを見せているとし、「こうした傾向は今後イノベーションを後押ししていくだろう」と指摘した。
(伊藤純夫)