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欧州市場サマリー(19日)
[19日 ロイター] - <外為> ドルが小幅高。前週3年ぶり安値をつけていた反動で一部買い戻しが入った。ただアナリストの間からは、ドルの軟調地合いは続いており、ドル売り一服は一時的との声が聞かれた。
主要6通貨に対するドル指数は0.3%高の89.342。前週は2014年12月以来の低水準をつけていた。
ドルは前年10%下落した後、今年も年初から約3%下落。今月初旬の世界株安を受け、安全資産とされるドルの逃避買いが膨らんだものの、リスク選好度の回復に伴い、ドルは再び売り圧力にさらされる構図となっている。
この日は幾分買いが戻ったものの、市場ではドル上昇は一時的との見方が根強い。
ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、アルビン・タン氏は「ドル安が再認識される動きとなっている」と指摘。「今年はドルが軟調となることを想定しているが、ドルはかなり急速なペースで1月の下落トレンドに戻った」と述べた。
19日は主要指標の発表がなかったほか、米国やアジア市場の一部が休場だったことから、比較的薄商いとなった。
ユーロ/ドルは0.3%安の1.2386ドル。
ドル/円は0.2%高の106.55円。
コメルツ銀のアナリストはノートで「ドル売りは前営業日失速したが、終えんを迎えたとの確信は得ていない」との認識を示した。
スウェーデンクローナは対ユーロで0.3%下落。同国が主要投資先であるラトビア第3位の銀行ABLV銀が資金洗浄(マネーロンダリング)に関与していたとして、欧州中央銀行(ECB)が同行への全ての支払いを停止。さらにこれとは別件で、ECBメンバーのリムシェービッチ中銀総裁が賄賂を要求したとの疑いで逮捕されたことが重しとなっている。
<ロンドン株式市場> 下落。低調な業績を嫌気された日用品メーカーのレキット・ベンキーザーの下げが重しとなった。また、米・中国が祝日で休場だったため、比較的薄商いとなった。
レキットは7.5%安。2017年の利益が市場予想を下回ったほか、商品コストの上昇などが今後の見通しへの圧迫要因になるとの認識を示した。また、米ファイザーのコンシューマーヘルス事業を買収するとの観測も株価押し下げに寄与したとみられている。
レキットの下げが主導する格好で一般消費財株全体が下落し、FT100種への最大の押し下げ要因となった。
一方、鉄鋼エブラズは4.4%高。ロシア鉄道にレールや関連製品を供給する長期契約に署名したことが材料視された。
<欧州株式市場> 不安定な取引のなか小幅安で終了した。STOXX欧州600種指数は朝方は鉄鋼株と金融株などの買いで上向いていたものの、消費関連株に売りが出たことで下落に転じた。
英日用品メーカーのレキット・ベンキーザーは業績見通しが予想を下回ったことなどで売られ、7.5%安で終了。インベステックのアナリストは業績見通しを受け、同社に対する投資判断「売り」を確認した。
英蘭系日用品大手ユニリーバ、英大手飲料メーカーのディアジオ、スイス食品大手ネスレ、仏食品大手ダノンも下落した。
一方、米商務省が前週、トランプ大統領に対し鉄鋼とアルミニウムの輸入を大幅に制限するよう提言したことを受け、鉄鋼株が上昇。モルガン・スタンレーのアナリストは、これを受け欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会もEUへの鉄鋼輸入を制限する措置を打ち出す可能性があるとし、アルセロール・ミタルやSSABなどが大きな恩恵を受ける可能性があると指摘。SSABは2.8%高で終了した。
独総合電機大手シーメンスは0.3%安で終了したものの、一時は1%上昇。同社は医療画像・診断部門Healthineersを2018年上期にフランクフルト市場に上場させると発表した。
独自動車大手ダイムラーは2.1%安で終了。米当局の捜査で、排ガス試験の通過を容易にするソフトウエアが同社製の自動車に搭載されていた可能性があることが判明したとの独紙ビルト日曜版の報道が嫌気された。
<ユーロ圏債券> ギリシャ国債利回りが低下。フィッチのギリシャ格付け引き上げを受け、同国に対するセンチメントが改善した。一方、イタリア国債は売られた。来月に総選挙を控え、警戒感が高まっている。
ギリシャ10年債利回りは5ベーシスポイント(bp)低下し、4.23%。独10年債との利回り格差は351bpに縮小し、1週間ぶりの低水準になった。
フィッチは前週16日、ギリシャの長期外貨建て発行体デフォルト格付け(IDR)を「Bマイナス」から「B」に1段階引き上げた。経済成長の継続や政治リスク低減を背景に、ギリシャの一般政府債務の持続可能性が改善するとの見通しを示した。
DZ銀の金利ストラテジスト、セバスチャン・フェレクナー氏は「ギリシャの格付け引き上げは改革の進展にしっかりと支えられている」と評価。「ギリシャが金融支援を脱却する可能性があり、(ギリシャ債への)追い風になる」と述べた。
一方、米国やアジア市場の一部が休場で全般的に薄商いとなったことで、他のユーロ圏の10年債利回りは2-6bp上昇した。
イタリア債はアンダーパフォームし、独債との利回り格差は131bpと、前営業日の128bpから拡大。3月4日実施のイタリア総選挙に関する世論調査によると、ベルルスコーニ元首相が率いる政党を中心とする中道右派連合がリードしている。ただ、実質過半数には達しない見込みで、政治的こう着状態に陥る可能性がある。
この日、目立った欧州発のニュースでは、ラトビア銀行業界3位のABLV銀行が資金洗浄(マネーロンダリング)に関与したとの疑いから、欧州中央銀行(ECB)が同行に対する全ての支払いを停止したと発表。またこれに先立ち、ECB理事会メンバーのリムシェービッチ中銀総裁が賄賂を要求したとの疑いで逮捕されている。
また、 ユーログループ(ユーロ圏財務相会合)は、5月末に退任するコンスタンシオ欧州中央銀行(ECB)副総裁の後任としてスペインのデギンドス経済相を選定した。