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日本生命、海外プロジェクトファイナンスを積極化
2月16日、日本生命保険は海外のインフラ設備などに融資するプロジェクトファイナンス(PF)を拡大する。今年度は契約額で1000億円を超えた。写真は都内で2009年7月撮影(2018年 ロイター)
[東京 16日 ロイター] - 日本生命保険は海外のインフラ設備などに融資するプロジェクトファイナンス(PF)を拡大する。今年度は契約額で1000億円を超えた。低金利下で資産運用の多様化を進める生保にとって、比較的厚い利ざやが見込める海外PFは魅力的で、来年度も再生可能エネルギー関連などを中心に積極的に増やしていく方針だ。
ストラクチャードファイナンス営業部の久下真司部長がロイターの取材に対して明らかにした。
日生は海外PFに本格的に取り組くむため2017年3月に同部を新設。現在は12名の陣容だ。今年度はこれまで10件弱、1200億円の契約を手掛けた。主な案件としてはトルコにおける病院建設向けの175億円の融資がある。久下部長によると、今年度中にさらにクローズする可能性のある案件も数件あるという。
日生は国内PFは従来から手掛けており、今年度は15件、契約額ベースで1000億円になったという。
借り手企業の返済能力に基づいてお金を貸す企業向け融資に対し、PFは発電所などの事業から上がる収益が返済原資となる。融資にあたってはそれぞれの事業が抱える個別のリスクを把握する必要がある。
「手間はかかるのは確か。ただ、リスクに対するリターンの効率性は良い。長期にわたるものなので将来のリスクもあるが、そこをきちっとできれば非常に魅力的」と久下部長は語る。平均的な海外PFでは、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)に対する上乗せ金利は150から200ベーシスポイントになるという。
日生の海外PFはほとんどが外貨建てで、為替変動に対するヘッジを付けているという。変動金利で貸し出しているため、内外金利差によるヘッジコストの変動をある程度吸収できると久下部長は説明する。
同社は案件組成段階から参加するプライマリーと銀行などが持つ債権を買うセカンダリーの両方を手掛ける。銀行は資本規制の強化で長い年数にわたる融資を多く抱えるのが難しくなっている中、長期資金の出し手として生保への期待も高まっていると久下部長は述べた。
来年度は海外PFに携わる人数を拡大し、案件獲得をさらに積極化する。「これまではスポンサーが日系企業の案件に参加してきたが、来年度は非日系企業のスポンサー案件もやってきたい」(久下部長)としている。
(浦中 大我)