ニュース速報

ビジネス

アングル:債券利回り上昇、アジア通貨のキャリートレード圧迫

2018年02月15日(木)11時03分

 2月13日、債券利回りはここ何年かで初めて世界中で一斉に上昇し、今後株式や通貨のボラティリティは数年来の高水準に達する見通しだ。写真はインドネシアのルピー紙幣。2017年6月撮影(2018年 ロイター/Thomas White)

[13日 ロイター] - 債券利回りはここ何年かで初めて世界中で一斉に上昇し、今後株式や通貨のボラティリティは数年来の高水準に達する見通しだ。このため投資家は、リターンの高い新興国資産の保有コストを改めて考えざるを得なくなっており、特にインドネシアやインドなどが見直しの対象になっている。

利回りが上がったのは、米国のインフレ懸念に伴う連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速観測台頭に加え、欧州や日本でも大規模緩和の縮小予想が強まっていることが理由だ。

米10年国債利回りは12日に4年ぶり高水準となる2.9%まで跳ね上がり、年初来では約50ベーシスポイント(bp)上昇した。

とりわけリスクにさらされているのは、調達コストの安いドルや円を借りて高利回りの新興国株・債券に投資する「キャリートレード」だ。みずほ銀行のFXストラテジスト、チャン・ウェイ・リアン氏は「利回り上昇自体は必ずしも悪いことではない。しかし短期間の急激な上昇が起きれば、キャリートレードにはかなりの逆風になる」と話した。

2月に入って既にこれまでに、外国人投資家はおよそ83億ドル相当のアジア株を売却したことが、証券取引所のデータで判明している。またインドネシア財務省のデータによると、外国人投資家は今月、同国債を5億6600万ドル売り越した。

メイバンクはリポートで「ボラティリティーの増大と米国債利回り上昇によって、インドネシアルピアのキャリートレードの魅力が薄れ、外国人のインドネシア資産取引に影響を及ぼした」と指摘している。

当面の米国株のボラティリティーを探る指標となるCBOEボラティリティー・インデックス(VIX)は先週2年半ぶりの高水準となる50.30を記録した。

オプション価格に由来する予想変動率は、目先のアジア通貨の値動きが激しくなる公算が大きいことを示している。例えばドル/ルピアの1カ月物予想変動率は年初から200bp近く高まって5.7%を付けており、ドル/インドルピーの予想変動率も同じ期間に100bp超上がって5.2%になった。

ボラティリティー調整後のリターンを計測するための「シャープレシオ」をロイターが計算したところでは、ルピー、ルピア、韓国ウォンはいずれも今年になってマイナスに転落した。昨年は3通貨ともにプラス3%を上回っていた。

ルピアとルピーは、アジア地域で債券利回りが最も高い部類であることから、キャリートレードの対象として人気が高い。

OANDA(オアンダ)のアジア太平洋トレーディング責任者スティーブン・イネス氏は、ユーロないし円を調達して行うキャリートレードは今の環境でリスクがより大きいと警告した。

イネス氏は「目下のところ、キャリートレードで何かをするには市場があまりにも不安定化している。それでも自分が今キャリートレードを考えるとすれば、ドルを使う。なぜならドルは他通貨よりも流動性が高いからだ」と説明した。

(Patturaja Murugaboopathy、Gaurav Dogra記者)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 2

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子供を「蹴った」年配女性の動画が大炎上 「信じ難いほど傲慢」

  • 3

    あまりの激しさで上半身があらわになる女性も...スーパーで買い物客7人が「大乱闘」を繰り広げる動画が話題に

  • 4

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 5

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 5

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 9

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中