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政策株売却の妨害ないか、投資家は企業と議論を=金融庁指針案

2018年02月14日(水)19時23分

 2月14日、ロイターが入手した資料で明らかになったところによると、金融庁は、上場企業に対して取引関係の維持などを目的に保有する政策株式の売却を促すため、投資家と上場企業の対話に関するガイドラインによって着眼点を明確化する。金融庁で2017年6月撮影(2018年 ロイター/Issei Kato)

[東京 14日 ロイター] - 金融庁は、上場企業に対して取引関係の維持などを目的に保有する政策株式の売却を促すため、投資家と上場企業の対話に関するガイドラインによって着眼点を明確化する。取引の縮小をちらつかせ、政策株を保有させる側が政策株の売却を妨害してないか、投資家が十分に目を光らせるよう求める。

ロイターが14日入手した資料で明らかになった。金融庁は、ガイドラインの原案を15日午前に開く有識者会議「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」に提示する。

金融機関の中には、政策保有株の削減方針を打ち出し、段階的に保有株を売却しているところがあるが、「政策株を保有させる側の上場企業が、契約打ち切りや競合他社への乗り換えをちらつかせるなどして政策保有株の売却をしづらくしている」(機関投資家)との指摘がある。

ガイドライン案では、政策株を保有する企業が売却を申し出た際に、取引の縮減を示唆するなどして売却を妨げていないか、取引の経済合理性を十分に検証しないまま取引を続け、企業や株主共同の利益を害するような取引を行っていないか、投資家が企業との対話で重点的に議論するよう求めた。

また、政策保有株式に関する議決権行使について、適切な基準が策定され、分かりやすく開示されているか、策定した基準に沿って適切に議決権行使が行われているかという点も、機関投資家が重視すべき項目に挙げた。

ガイドラインの原案は、1)経営環境の変化に対応した経営判断、2)投資戦略・財務管理の方針、3)CEOの選解任・取締役会の機能発揮等、4)政策保有株式、5)アセットオーナー――の5つの柱で構成。金融庁はガイドラインを通じ、企業と機関投資家の対話を充実させ、企業の成長力向上につなげたい考えだ。

(和田崇彦 編集:布施太郎)

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