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トヨタ、米減税で純利益は最高の2.4兆円へ 体質改善なお課題
2月6日、トヨタ自動車が18年3月期通期の連結業績予想を上方修正した。通期営業利益は前期比10.3%増の2兆2000億円の見通し(従来は同0.3%増の2兆円)。写真は都内で昨年2月撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung Hoon)
[東京 6日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>は6日、2018年3月期通期の連結業績予想(米国基準)を上方修正した。米国の法人減税により純利益は前期比31.1%増の2兆4000億円に拡大、16年3月期以来、2年ぶりの過去最高を見込む。ただ、減税や円安など一過性の押し上げ効果に支えられている面が強く、収益体質改善はなお課題となっている。
同社はこれまで純利益を6.5%増の1兆9500億円と予想していた。しかし、米国の法人税率が35%から21%に引き下げられたことに伴い、北米での金融事業に関わる繰り延べ税金負債の取り崩しなどが可能になり、17年4―12月期に2919億円を計上、純利益を押し上げた。
通期の営業利益予想は10.3%増の2兆2000億円(従来は0.3%増の2兆円)。トムソン・ロイターが集計したアナリスト25人の通期営業利益の予測平均値は2兆1032億円で、修正数値は市場予想を上回る。
営業利益については、円安の影響など為替変動で650億円が上積みされるほか、品質関連費用が想定より少なく済み、750億円プラスの効果となる。原価改善努力も200億円寄与する。
通期の売上高予想は5.1%増の29兆円(従来は3.3%増の28兆5000億円)で、16年3月期以来、2年ぶりの過去最高となる見通し。
通期の前提為替レートは、対ドルは1ドル=111円と従来のままとした。対ユーロは1ユーロ=129円と従来の128円から1円円安方向に見直した。
第3・四半期(17年10―12月期)の営業利益は前年同期に比べ2350億円増の6736億円を確保した。
会見した小林耕士副社長は「為替・スワップなどの影響を除くと50億円の増益にとどまる。為替などに左右されない収益体質を目指す以上、第3・四半期(の業績評価)はサンカク(不十分)だ」と指摘。通期の営業利益予想も「為替・スワップなどの影響を除くと前期比550億円のマイナスなので、まだバツだ」と語った。
主力の北米市場も厳しい。第3・四半期の営業利益(金利スワップ取引などの評価損益除く)は前年同期に比べ73%減の270億円だった。販売奨励金の増加などが響いた。米国の減税効果などは一過性で、為替の影響を受けない収益体質を作り、今後も原価低減を徹底すると強調した。
通期のグループの世界小売販売計画は1030万台と従来の1025万台から引き上げた。地域別では、北米が281万台(従来は279万台)、アジアが155万台(同155万台)、国内が225万台(同226万台)、欧州が96万台(同97万台)。
同時に発表した17年4―12月期連結決算(米国基準)によると、営業利益は前年同期比13.8%増の1兆7701億円だった。円安の影響などで営業利益を2950億円押し上げたほか、原価改善で1350億円の増益要因となった。売上高は同8.1%増の21兆7969億円、純利益は同40.5%増の2兆0131億円だった。
(白木真紀)