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米12月個人消費0.4%増、貯蓄は約10年ぶり低水準
1月29日、2017年12月の米個人消費支出は前月比0.4%増と底堅く増え、市場予想と一致した。写真は2010年2月、ニューヨークのウォルマート店舗の買い物客を撮影(2018年 ロイター/Shannon Stapleton)
[ワシントン 29日 ロイター] - 米商務省が29日発表した2017年12月の個人消費支出(季節調整済み)は前月比0.4%増と底堅く増えた。市場予想と一致した。
モノとサービスの需要がともに伸びたことを反映し消費が増加したものの、貯蓄が10年ぶりの低水準となり、今後の消費や経済成長見通しに影を落とす。
11月の個人消費支出は当初発表の0.6%増から0.8%増へ上方改定された。12月のインフレ調整後の個人消費は前月比0.3%増だった。
第4・四半期は年率換算で3.8%増加。第3・四半期の2.2%から加速し、3年ぶりの高水準となった。
エコノミストの間では、米株価上昇や住宅価格の上昇を反映した家計資産の増加を受け、消費者の間で貯蓄を取り崩すことに対する抵抗が小さくなっている可能性があるとの見方が出ている。
ウエルズ・ファーゴ証券のシニアエコノミスト、ユージニオ・アレマン氏は「消費者信頼感の高まりに加え、株式相場の上昇や家計資産の増加を受け、米国の消費者の心理が以前よりも明るくなっているのは事実だ」と指摘。ただ「現在の消費ペースが維持されるには、所得が継続して伸びる必要がある」とも述べた。
今回の統計は26日に発表された17年第4・四半期国内総生産(GDP)に含まれた。第4・四半期GDPの個人消費は年率で3.8%増と、3年ぶりの大幅なプラスとなった。前期は2.2%増だった。
第4・四半期GDPは年率で2.6%増だった。貿易と在庫投資が重しとなったものの、底堅い個人消費がそれを相殺した。第3・四半期GDPは3.2%増だった。
12月の個人所得は0.4%増。11月は0.3%増加していた。賃金は12月に0.5%増加。2017年は3.1%増となり、前年の2.4%から伸びが加速した。
貯蓄は3516億ドルと、07年12月以来、10年ぶりの低水準となった。11月は3651億ドルだった。2017年通年では4858億ドルとなり、前年の6806億ドルから減少し、2007年以来の低水準となった。
12月の貯蓄率は2.4%と、05年9月以来の低水準。11月は2.5%だった。17年通年では3.4%と、07年以来の低水準だった。16年は4.9%だった。
低い貯蓄率は個人消費や経済成長にとって危険信号だ。バークレイズ(ニューヨーク)の首席エコノミスト、マイケル・ガペン氏は「他の条件が一定だった場合、貯蓄率が継続的に低下すれば消費の伸び率は限定的となる」と指摘。ただ、貯蓄低下の消費に対する影響は、一時的に米税制改革により相殺される可能性があるとの見方も出ている。
12月は自動車などの耐久財が0.7%増。サービスは、水道光熱の需要の増加を反映し0.5%増だった。
米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安としているコア個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.2%上昇となった。11月は0.1%上昇していた。12月の前年同月比は1.5%上昇。11月も1.5%上昇だった。コアPCEの前年同月比はFRBが目標とする2%を12年半ばから下回っている。
ただオックスフォード・エコノミクス(ニューヨーク)の首席米国エコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は、「プラスの産出量ギャップ、エネルギー価格の上昇、ドル安などを背景にインフレは2018年は上向く」との見方を示している。
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