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トラック4社が公道で初の隊列走行実験、共同開発システムを使用

2018年01月23日(火)18時46分

[東京 23日 ロイター] - 経済産業省と国土交通省、国内トラックメーカー4社による高速道路での隊列走行実証実験が23日から始まった。異なるメーカーのトラックが、共同開発したシステムを使い一定の距離を保ちながら走行する実験で、公道でのこうした隊列走行実験は世界初という。少子高齢化などで物流業界のドライバー不足が問題となる中、早ければ2022年に先頭車のみ有人で運転する技術の商業化を目指している。

実験には日野自動車<7205.T>、いすゞ自動車<7202.T>、三菱ふそうトラック・バス、UDトラックが参加。4社共同で開発した「協調型車間距離維持支援システム(CACC)」を搭載したトラック3台が隊列を組んで走行する。CACCは車両間通信で先行車の制御情報を受信し、加減速を自動で行い、車間距離を一定に保つ機能。CACCによって車間距離の変動を少なく抑えられ、長距離を走るドライバーの疲労軽減につながる。隊列走行では空気抵抗が減るため、燃費改善も期待されている。

この日はいすゞ、三菱ふそう、UDのトラック3台が約30メートルの車間距離を維持しながら、時速最大80キロ以下で、物流の大動脈である新東名高速道路の浜松サービスエリア(浜松市)から約15キロ離れた遠州森町パーキングエリア(静岡県森町)を2往復した。トラック1台の全長は約12メートルで、先頭車から後続車までは約100メートルの長さになり、実験では周辺を走る一般ドライバーの受容性やトラック隊列が周辺を走る車に及ぼす影響などを確認する。

30日から2月1日までは、北関東自動車道で坂道などの高低差に対応できるかどうかを確認する実験を行う。今回の実験では後続車にもドライバーが乗るが、来年1月には後続車を無人にできるシステムを搭載した隊列走行の実証実験(後続車にも緊急対応用ドライバーは乗車)を実施し、20年には高速道路で後続車が無人の隊列走行を実現したい考えだ。

初の実験に先立ち、経産省の垣見直彦ITS・自動走行推進室長は「各社間でデータの共有などを進めてCACC、隊列走行技術のさらなる発展が期待できる」と説明。国交省の佐橋真人国際業務室長は「後続車が無人の隊列走行はドライバー不足問題を解消し、トラック業界の生産性向上につながる」と語った。

(白木真紀)

ロイター
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