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IMF、18年世界成長予想3.9%に上方修正 米税制改革が寄与
1月22日、国際通貨基金(IMF)は、世界経済見通し(WFO)を公表し、2018、19年の世界成長率予想を3.9%とし、昨年10月時点の見通しからともに0.2%ポイント引き上げた。写真はIMFのロゴ。2016年10月撮影(2018年 ロイター/Yuri Gripas)
[ダボス 22日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は22日、世界経済見通し(WFO)を公表し、2018、19年の世界成長率予想を3.9%とし、昨年10月時点の見通しからともに0.2%ポイント引き上げた。
米税制改革が同国の投資の拡大につながり、主要貿易国経済への追い風になるとの認識を示した。
2017年の世界成長率は、欧州とアジアの経済活動が予想以上に堅調だったことを踏まえ、3.7%と予想し、前回見通しから0.1%ポイント引き上げた。
18年の米経済成長率見通しは2.7%とし、前回予想の2.3%から大幅に引き上げ。ただ、19年の成長率は2.5%に鈍化することを見込む。
IMFは「米税制改革が経済活動を刺激することが見込まれ、短期的なプラス効果は主に法人税減税を受けた投資活動が主導するだろう」とした。
IMFの首席エコノミスト、モーリス・オブストフェルド氏は声明で、米税制改革は同国の経常赤字拡大やドル上昇につながるほか、世界的な投資の流れに影響する公算が大きいとの認識を示した。
IMFはまた、米成長率は税制改革によって、2020年末までに計1.2%押し上げられる見通しとしつつも、税制改革に伴う支出押し上げ効果が薄れるにつれ、成長率は2022年以降数年間、鈍化する公算が大きいと警鐘を鳴らした。
オブストフェルド氏は記者団に対し「現在の経済の勢いは長続きする公算が小さい複数の要因を反映していることを政策担当者は念頭に置いておく必要がある」と指摘。減税による景気底上げ効果は、投資拡大に向けた一時措置の期限が切れ、連邦債務が増大するなか、将来的に低成長という形で一部代償を支払う必要が出てくるとの考えを示した。
また、金利が急激に上昇した場合は一部の国で債務の持続可能性を巡る問題が台頭し、これにより「上昇した水準にある」株価水準が大幅に調整される可能性があるとの考えも示した。
今年の日本成長率見通しは1.2%、19年は0.9%とし、10月時点の見通しからそれぞれ引き上げた。
ラガルドIMF専務理事は、世界経済フォーラム(WEF)年次総会が開催されるダボスで記者会見し、「世界の成長は2016年以降加速した。あらゆる兆候が、この勢いが年内および翌年2019年も継続していくことを示唆している」と語った。同時に「多くの国で懸念を誘うような債務拡大が確認されており、警戒を続ける必要がある」と語った。
ユーロ圏の18年成長率は2.2%と予想。域内のドイツ、イタリア、オランダの見通しを軒並み引き上げた。ただスペインについてはカタルーニャ自治州の独立問題に起因する政治不安により信頼感や需要などが影響を受けるとし、成長率見通しを0.1%ポイント引き下げた。
英国の18年見通しは1.5%で据え置き。
中国の成長率については、18年は6.6%となった後、19年には6.4%に鈍化すると予想。
新興国では、南アフリカの18、19年の見通しをともに0.9%に下方修正。中南米については、ブラジルやメキシコの経済活動に弾みがつくものの、ベネズエラの経済危機が重しになるとの見通しを示した。
*写真を追加しました。