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日本国債の利回り上昇、政府の調達能力阻害せず=ムーディーズ
1月17日、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、最近の日本国債の利回り上昇によって政府の資金調達能力が阻害されることはないとの見解を示した。写真はパリで2011年10月撮影(2018年 ロイター/Philippe Wojazer)
[東京 17日 ロイター] - 格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは17日、最近の日本国債の利回り上昇によって政府の資金調達能力が阻害されることはないとの見解を示した。
バイスプレジデント・シニア・クレジット・オフィサーのクリスチャン・ド・グズマン氏が記者団に語った。
同氏は日本政府の資金調達について、当面は良好な状況が続くと予想。政府は既発債をより低い金利で借り換えることが可能と指摘した。
また日銀が早期に金融政策を引き締めるとは予想していないとし、こうした状況も、政府の調達コストが低水準にとどまる要因だとの見方を示した。引き締めに動けば利回りの上昇によって利払い費用も増大するとみている。
同氏は「最近の利回り上昇は、日本の資金調達状況が悪化することを示唆していない」とし、「既発債の一部は利率が1%か2%だが、ゼロ%近辺で借り換えることができる」と述べた。
ムーディーズは日本国債の格付けを最上位から5番目の「A1」としている。見通しは「安定的」。
日本の債務は国内総生産(GDP)の2倍以上と先進国の中では最悪だが、日銀の量的緩和を背景にした低金利水準によって調達コストは抑えられている。
ド・グズマン氏は、日本の債務残高の対GDP比は高いものの、名目GDPの成長により最近は安定化していると指摘。それが昨年12月に日本の格付けを据え置いた理由だと説明した。
また、2012年の政権復帰後、安倍首相の構造改革は一定の進展をみせており、ソブリン格付けを支援していると評価。
企業への設備投資奨励策もあって資本財が2014年から潜在成長率に寄与し始めたことを例に挙げ、女性や高齢者の労働参加を高める取り組みも日本の潜在成長率を押し上げていると述べた。
さらに、今年の日本政府の最優先課題の1つが2018年度予算を成立させることだと指摘。97兆7000億円と巨額だが、一部項目は減額されており、財政赤字の対GDP比は縮小しているため、財政改革とは整合が取れているとの見方を示した。
*内容を更新しました。