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EXCLUSIVE-ユニバーサル元会長、HDの代表復帰を宣言 

2017年09月14日(木)19時20分

 9月14日、ユニバーサルエンターテインメントの創業者、岡田和生氏(写真)が、ユニバーサルの筆頭株主で岡田家の資産管理会社、岡田ホールディングス(岡田HD、本社:香港)の代表に復帰する手続きを行ったことがわかった。写真は都内で7月撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)

[東京 14日 ロイター] - ユニバーサルエンターテインメント<6425.T>の創業者で元会長、岡田和生氏は14日会見し、ユニバーサルの筆頭株主で岡田家の資産管理会社、岡田ホールディングス(岡田HD、本社:香港)の代表に復帰する手続きを行ったことを正式に明らかにした。同氏は今後、HD代表としてユニバーサルに臨時株主総会を招集するよう要請、富士本淳社長ら現経営陣を解任するとともに、中国への45億円の送金の真相などを解明する方針も示した。

岡田元会長は、今年5月、HDの大株主である長男の岡田知裕氏らとの対立を背景に、同社代表のほか、6月の株主総会でユニバーサル会長の職からも解任されていた。

この日、都内で弁護士とともに会見した岡田元会長によると、同氏は岡田HDの代表を解任された後に、HDの株式の9.8%を保有する長女、裕実氏と再び交流を開始。話し合いを経て和解し、裕実氏は和生氏の支持に回ったという。和生氏はHDの株式の46.4%を保有。長女の持分とあわせると過半数を確保する。

これを受け、岡田HDは今月初めに臨時株主総会を開き、和生氏の代表復帰を決めるとともに、香港の登記局に書類を提出した。一方、43.5%を保有する長男の知裕氏は、裕実氏の保有株の権限は自分にあるなどと主張し、和生氏の代表就任に異論を唱えている。

しかし、岡田元会長はこの日の会見で、裕実氏は株式を「(長男に)譲渡していないし、譲渡する気もないと、きちんと弁明書を得ている」と話した。裕実氏は、共に香港に出向き、公正証書を作成したという。

香港の当局は現時点で、事情があるため(issues with the company)として、書類を外部から閲覧できない状態にしている。このため、ホールディングスの代表に岡田氏が復帰したかは開示書類から確認できない。

会見で岡田氏は、ユニバーサルが8月30日に開示した特別調査委員会による調査結果に対する自身の主張も述べた。

ユニバーサル側は、岡田氏が会社の必要な手続きを経ないまま香港の子会社に約20億円を貸し付けたことについて、それが同氏個人の利得のためだった疑いがあるなどとして、調査していた。

岡田氏は、20億円は現在も契約が続いている貸付金と説明。「オーナー企業と言われている立場から、あえてそんな損失をつくる必要性があるのか」と不正の疑いを否定した。

<臨時株主総会>

岡田元会長は、岡田HDの代表に戻った後、ユニバーサルの経営にも復帰し、富士本社長を始めとする現経営陣を刷新する方針。すでに、ユニバーサルのすべての取締役と監査役の解任などを求める臨時株主総会の招集を求める書簡を送った。同氏弁護士によると、会社からそれに対する反応はまだない。

岡田元会長は、ユニバーサルへの復帰について、「私でなければカジノ(経営)はできない。カジノを知り尽くしているのは、私だけだ」と述べた。

会社法に詳しい弁護士によると、ユニバーサルが臨時株主総会の開催を阻止したい場合は、岡田和生氏が権利を乱用し、ユニバーサルに損害を与える可能性があることを裁判で証明する必要があるという。

*内容を追加しました。

(江本恵美、ネイサン・レイン、取材協力:ファラ・マスター、編集:北松克朗)

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