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中国政府系ファンドCIC、対米投資に慎重 米中貿易戦争で
[北京 20日 ロイター] - 中国の政府系ファンド、中国投資有限責任公司(CIC)は20日、米中貿易戦争を受けて対米投資に慎重になっていることを明らかにした。
CICの居偉民社長は会見で「(貿易戦争で)対米投資に慎重になっている」と発言。「(CICは)投資先の国の脅威とはならない。法の順守を強く主張する」と述べた。
同社長は、運用資産のうちリスクの最も高い資産を減らし、製造・ハイテク・通信・ヘルスケア分野で投資機会を模索する考えも示した。
CICがこの日発表した2018年通期決算は、純利益が37.2%減の650億6000万ドル。複雑な国際金融環境や市場の混乱が背景という。総投資収益は40.7%減の678億4000万ドルだった。
彭純会長は「世界経済と金融情勢は複雑だ。国際資本市場は混乱しており、資産のリスクが増している」と発言。現在の米中関係は「デリケート」な状態にあると述べた。
同会長はCICは「多くの圧力を感じている」とも発言。リターンの長期見通しは安定しているとの見方も示した。
2018年の海外投資の純リターンはマイナス2.35%。2017年は17.59%だった。ただ2008─2018年の累積投資リターンは6.07%で、目標を上回った。
同会長によると、CICは、現代版シルクロード構想「一帯一路」の下で44件のプロジェクト(総額260億ドル規模)に関与している。
同会長は「一部の海外諸国は投資への監視を強化している」とし、保護主義の拡大で中国の投資会社が偏った扱いを受けているとの見方を示した。
ただ同会長は、多国籍ファンドなど国境を超えた投資に積極的に関与していく方針も示した。
同会長によると、CICは国有資産の管理で役割を強化する計画。金融リスクを最小限に抑えることが最も重要な任務になるという。
CIC傘下の中央匯金投資は今年、経営が悪化した恒豊銀行を救済した。同会長は「市場原理に基づいてリスクの高い機関の問題を解決し、救済する土台としての役割を強化する。金融リスクの解消は我々の長期的な課題だ」と述べた。