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豪中銀、政策金利が0.5%に低下すれば非伝統的政策を検討へ=副総裁

2019年08月27日(火)17時26分

[シドニー 27日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)のデベル副総裁は27日、豪政策金利が0.5%まで引き下げられた場合、中銀は非伝統的金融政策を検討するとの見方を示した。ただ、それほどまで大胆な政策調整が必要にならないことを願うと語った。

副総裁は過去に政策金利をゼロ─0.5%に引き下げたカナダ、米国、英国の事例を中銀は研究したことがあると明らかにした。

ANZのエコノミスト、デービッド・プランク氏は、マイナス金利採用の可能性を排除していることを示唆した発言と指摘。「デベル氏はマイナス金利の事例について言及しなかった。これは豪中銀が米国、英国、カナダの経験から主に学ぼうとしていることを示している」と語った。

豪中銀は6月以降2回の利下げで政策金利を過去最低の1%に引き下げた。金融市場<0#YIB:>は年内にもう1回と、さらに来年2月の追加利下げによって金利が0.5%まで引き下げられると予想している。

ただ、中銀は追加緩和に動くタイミングについて手掛かりを与えていない。

デベル副総裁はキャンベラで、政策金利が0.5%まで低下した後の政策対応について問われ、「われわれが目標を達成できていないならば、目標を達成するよう尽力する責務がある」と指摘。

政策金利がゼロに近づいた場合に中銀が国債や社債の買い入れを検討するかとの質問には「これまで考えたことがある選択肢に入っている」と応じた。

副総裁は先の講演で、豪政策金利の下限は0─0.5%付近である可能性が高いとの見方を示していた。

デベル副総裁は、豪ドル安は経済を下支えしているとの認識も示し、さらなる下落はプラス効果をもたらすと指摘した。

豪ドルは年初から4%超下落し、一時0.6677米ドルと2009年初頭以来の低水準を付けている。

「豪ドルがさらに下落すれば、経済成長率とインフレ率という観点でマクロ経済見通しにとって有益となる」と指摘し、「実体経済とインフレ率の両面で目標に近づくのを後押しすることになる」と語った。

豪住宅市場については、「明確に底を打ったと示すデータが増えている」と述べた。

デベル副総裁は講演で、世界的な貿易戦争は世界経済にとって「重大なリスク」だが、オーストラリアの経常赤字が縮小しつつあることは同国が外的ショックの影響を受けにくいことを示しているとの見方も示した。

国内総生産(GDP)に占める対外純負債の比率は過去10年間に低下し、2000年初め以来の低水準だと指摘。この負債のほとんどは豪ドル建てで保有されており、同通貨がショックの重要な緩衝材になっているとの見解を示した。

また、同時にオーストラリアでは外国株式への投資が大幅に拡大しており、すべて外貨建てで保有されていると指摘。「対外収支は脆弱(ぜいじゃく)性をもたらしておらず、過去30年間により強固になった」と述べた。

「バランスシート全体を見れば、オーストラリアは対外純資産国だ」とし、「したがって為替レートが下落した場合、対外純負債の価値は上がるのではなく下がる。つまり、為替レートが外的ショックの緩衝材としての重要な役割を担っている」と語った。

副総裁はまた、既存のルールに基づいた国際貿易システムについて、幾分の欠点はあるものの、世界経済の成長と繁栄に「大きな恩恵」をもたらしたと指摘。「オーストラリアは明らかにこのシステムの主な受益国だ。現在みられているシステムへの脅威はオーストラリアと世界にとって重大なリスクだ」と述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
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