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イタリア連立協議、過半数確保へ時間的猶予 大統領27日に意見聴取

2019年08月23日(金)09時01分

[ローマ 22日 ロイター] - イタリアで連立政権が崩壊し、新たな政権の発足と総選挙の回避に向けた動きが活発化する中、マッタレッラ大統領は22日、政党間の協議に時間的猶予を与え、来週27日に改めて各党から意見を聞く意向を明らかにした。

各党との2日間の協議を終えた大統領は記者団に対し、前回選挙からわずか1年5カ月での議会解散は安易に決定すべきでないと述べた。

一部の政党は安定的な過半数の確保を目指していることを大統領に伝え、大統領は27日に再度報告するよう指示した。あらためて各党と2日間の協議を行うという。

大統領は、欧州連合(EU)に対する義務や厳しい経済情勢を踏まえ「迅速な決定を求める責任が私にはある」と述べた。

大統領は特定の政党に言及しなかったが、反体制政党「五つ星運動」と中道左派の野党・民主党(PD)の連立に期待が集まっている。

民主党は22日、連立合意に厳しい条件を設定した。これを受けて秋の総選挙の可能性が高まったが、状況は流動的で、交渉余地は十分にある。

五つ星のディマイオ党首は大統領との面会後、記者団に対し「安定的な過半数確保に必要な接触をすべて開始した」と述べ、総選挙回避に向けて努力していることを強調した。民主党には言及しなかった。

ディマイオ氏は、議会解散までに実現を目指す10の改革項目を大統領に提示したことも明らかにした。南部の貧困地域への投資など党の主要政策が含まれる。

民主党のジンガレッティ党首は21日、連立合意の条件として、EUへの加盟維持や移民対応の見直しなど5つの項目を掲げた。

22日にはこれに加えて五つ星に対し、「同盟」との連立政権下で成立させた安全保障・移民関連法の廃止、議員削減計画の修正、2020年予算を巡る枠組み合意への即時コミットの3つを新たに要求し、合意のハードルを上げた。

ジンガレッティ氏の強硬姿勢が交渉戦術なのか、それとも総選挙に臨む用意があることを意味するのかは不明だ。

同氏は五つ星と民主党がそれぞれ掲げた提案について、「協議を開始する枠組み」になるとの見方を示した。

こうした中、同盟のサルビーニ党首はマッタレッラ大統領との協議後、五つ星が同盟の政策に対してより建設的なアプローチをとるなら連立復活を検討する用意があるとの立場を示した。

政局混乱後初めて公表されたテクネの世論調査によると、同盟の支持率が31.3%に低下した一方、民主党と五つ星はそれぞれ24.6%と20.8%に上昇した。

*内容を追加しました。

ロイター
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