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欧州市場サマリー(19日)

2019年07月20日(土)03時30分

[19日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 反発して取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測が高まり、リスク志向が高まった。

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁とクラリダFRB副議長が前日、早期に景気を刺激する必要があると発言したことで、FRBが30─31日の会合で利下げするとの見方が高まった。[nL4N24J4M3]

産金会社アカシア・マイニングは19.3%上昇。最大の株主であるカナダの産金大手バリック・ゴールドが、買収価格を引き上げて残りの株式を買い取ることで合意した。

一方、イタリアで「五つ星運動」と「同盟」の連立政権の存続が危ぶまれる中で金融株が売られた。英銀大手のロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)とロイズはともに1%超値を下げた。

広告大手WPPは2.2%下落。フランスの競合ピュブリシスが、通期の売り上げ見通しを引き下げたことが売り材料だった。ピュブリシスは、フェイスブックやグーグルとの競争で米事業の売り上げ回復に苦戦している。

<欧州株式市場> まちまちで取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)の利下げが改めて意識された一方で、イタリアの政局混乱が懸念された。

イタリアの主要株価FTSE・MIB指数は2.03%、同国の銀行株指数は2.89%それぞれ下落した。連立政権を組む「五つ星運動」と「同盟」は非難の応酬を繰り広げ、政権の存続が危ぶまれている。総選挙を実施する場合、新政権が2020年度予算の承認に間に合わないことが懸念されている。

INGのエコノミスト、バート・コリーン氏は「イタリア政治の先行き不透明感は高いままだ。今年は予算の協議が絡むため、なおさらだ」と述べる。

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は前日、大惨事が起きてから景気を刺激するわけにはいかないと発言し、FRBが予想以上に利下げする見方が再浮上した。利下げ期待で欧州株は序盤に上昇した。

金利低下が打撃となる銀行株は売られた。STOXX欧州600種銀行株指数は0.77%下落し、最も軟調な部門だった。

メディア株指数は0.51%下落した。通期の売り上げ見通しを引き下げたフランスの広告会社ピュブリシスが6.5%安となり、全体を押し下げた。

STOXX欧州600種指数は週間ベースで0.10%上昇した。

<ユーロ圏債券> 欧州中央銀行(ECB)の利下げ期待を背景に国債利回りが週間で大きく低下した。

ドイツ10年債利回りは今週、8ベーシスポイント(bp)近く低下し、5月末以来の大幅な下げとなる見通しだ。

この日は、大半の域内10年債利回りが低下した。ただ、米国債利回りの上昇に伴い、取引時間中の低水準からはやや上向いた。

ドイツ10年債利回りは1.5bp下げてマイナス0.32%。

ブルームバーグは18日、ECBスタッフが物価目標の改訂に関して非公式に検討を開始したと報じた。[nL4N24J394]

域内債券は前週に売り込まれる場面もあったが再び急伸、この報道で緩和政策の長期化期待が強まった。

市場の関心は25日のECB理事会に集まる。9月にも預金金利を引き下げる見通しを示すとみられている。

一部投資家は来週にも動きがあると予想し、金融市場が織り込む10bpの利下げ予想確率は60%近くと今週初めの約40%から高くなった。

ナティクシスの債券ストラテジストは「大きな問題は利下げでなく、ECBが資産買い入れを再開するかだ。投資家からこの点の問い合わせがある」と話す。

より大幅で長期の利下げサイクルや債券買い入れプログラムの可能性が意識され、域内のインフレ期待を示す5年先スタート5年物フォワードレートは1.32%と約2カ月ぶりの高水準を記録した。

一方、イタリアでは強気ムードは広がらず、10年債利回りは上昇した。今週は10bp強低下した。

連立政権の存続が危ぶまれる中、サルビーニ副首相(「同盟」党首)がディマイオ副首相(「五つ星運動」党首)と会談する方針を表明し、緊張が走った。[nL4N24K1SS]

ユーラシア・グループのアナリストらは、イタリア市場は変動が大きな状態が続くと予想。「連立が引き続き本質的に不安定で早期総選挙の公算も依然大きいが、来年初めまでは行われないだろう」と分析した。

ロイター
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