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米国の大気は改善、主要都市の汚染物質は増加=環境保護局
[ワシントン 17日 ロイター] - 米環境保護局(EPA)が17日に発表した2018年の国内の大気状況に関する報告によると、米国ではここ2年、主要な公害物質の排出が減少し続けているにもかかわらず、主要都市で大気汚染が健康に有害なレベルとなった日数が急増している。
トランプ政権は、米国の大気が1970年以降改善していることを強調し、環境保護と経済活性化が両立可能であることの証明にしたい考え。トランプ大統領は先週ホワイトハウスで行った演説で、現政権は「米国を水と空気が最もきれいな国にすることを最優先課題に据えている」と明言した。
EPAのウィーラー長官は、報告とともに発表した声明で、「偉大ながら語られていない米国の環境サクセスストーリーは、大気の質を大きく改善してきたこと、また改善し続けていることだ」と述べた。
報告は、1970─2018年の期間に亜酸化窒素、二酸化硫黄、一酸化炭素、揮発性有機化合物、微小粒子および粉塵の6種の主要大気汚染物質の排出が74%減少した一方、米経済は275%成長したと分析。また、トランプ大統領就任以来、これら物質の排出量が1.2─8.7%減少したとした。
これに対し、主要35都市でオゾンと微小粒子(PM)の汚染が健康に有害なレベルだった日数は、2016年の合計706日から2018年末には799日に増加した。これは2012年以来最大で、10年間の平均を上回る水準。
全米肺協会(ALA)のシニア・バイス・プレジデント、ポール・ビリングズ氏は、「10年前と比べても全米の大半で大気の質は改善しているが、多くの都市でオゾンとPMレベルが上昇している」と指摘した。
ALAは、全米の人口の約43.3%が健康に有害なレベルのオゾンと微小粒子が検出された地域に集中していると報告。ビリングズ氏は、経済成長促進のため環境規則を緩和しようとするトランプ政権の動きは大気と水の質にリスクをもたらす可能性を生んでいると述べた。