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情報BOX:パウエルFRB議長の議会証言要旨
[ワシントン 10日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は10日、下院金融サービス委員会で証言し、通商政策を巡る不安や弱い世界経済が「引き続き米景気見通しの重し」という認識を示すとともに、景気拡大下支えに向け「適切に行動する」用意があると言明した。
証言の要旨は以下の通り。
<冒頭証言>
*通商を巡る不確実性や世界経済に対する不安、引き続き米経済見通しへの重しになっているもよう
*FRB、米経済成長の下支えに向け「適切に」行動する
*米経済成長は依然底堅く、労働市場は堅調さが持続し、インフレは2%目標に向かうというのが基本的な見通し
*弱いインフレ、現在のFRBの予想よりもさらに長引く恐れ
*米経済成長は第2・四半期に和らいだ。最近数カ月間、海外の一部主要国で経済の勢いが減速したもよう
*企業投資の伸びは著しく鈍化したもようで、貿易摩擦や世界経済の減速への懸念を反映している可能性
*第1・四半期の米消費支出の伸びは脆弱だったが、その後持ち直しており、足元では底堅く推移
*米経済の長期課題、高水準で増大する連邦債務や中低所得層の相対的な停滞など
<質疑応答>
*フェイスブック
*金融安定監督評議会(FSOC)、リブラに関し調査を行っている
*トランプ大統領から要請を受けても辞任しない
*これから月末にかけて重要な経済指標が出てくる
*ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の移行問題、個人への影響を注視
*フェイスブックの影響力を考慮すると、リブラ問題がシステミックリスクに発展する恐れ
*仮想通貨の安全かつ健全な技術革新が望ましい
*6月の雇用統計、FRBの経済見通しを根本的に変えず
*米経済に関してまずまず良好な兆しがある
*中国との通商協議は良い兆候、不透明性は完全に払拭されず
*通商政策を批判しておらず、FRBの二重の責務に影響する各種要因に対応
*銀行ストレステストの資本バッファー政策に関する見直しは最終段階
*日本のように長期の低インフレ時代に突入するのは望ましくない
*米経済のうち個人部門は堅調
*米経済の問題、むしろ企業部門の業況感や支出と関係
*不確実性が企業の支出や投資を抑制
*FRBは経済の立ち位置が足元良好と判断、現状を維持するべく手持ち手段の活用にコミット
*現在の賃金、インフレに上昇圧力をかけるほど十分に伸びておらず
*労働市場の過熱を示す兆候はまったくなく、現時点で問題とは見なされず
*メキシコやカナダとの通商合意、明るい材料で不確実性を払拭へ
*フェイスブックのリブラ巡る計画、懸念が解消されない限り進展は不可能
*最低賃金法、利便性やコストのトレードオフで経済的なコンセンサス得られておらず
*FRB、最低賃金法を巡り特定の立場を取らず
*オピオイド鎮痛薬問題、薬剤を摂取する人が異常なほど多く、労働参加率に影響
*リブラ巡り手続き、慎重かつ綿密に進める必要
*雇用の伸び、労働力人口に占める縁辺労働者に裾野が広がり始めたばかり
*インフレ率の鈍化、短期金利の低下に波及する可能性
*財政政策は金融政策よりも強力、金融政策が「唯一の選択肢」と見なすべきでない
*超過準備の付利金利(IOER)は金融政策の運営手段
*レバレッジドローン(信用リスクが高い融資)のリスク、銀行システムにおいて重大でなくシステミックリスクと言えず
*世界経済や製造業の問題、米経済において表面化
*FRB内で、通商を巡る不確実性や世界経済の問題を背景に一段の金融緩和の論拠が強まっているとの見方多い
*大規模な準備預金を伴う金利管理システム、多くの利点ある
*FRBの現在のバランスシート規模、将来の債券買い入れの支障とならず
*中間層や貧困層の所得、悩ましいほど低迷
*米所得の低迷は技術革新や国際化、教育が背景
*米政府の負債増大、重要な公共利益への支出よりも利払い負担増えることに
*米債務は現在の消費に使われ、未来の世代にツケが回る
*FRBは必要な手段を保持しているが、景気後退局面では財政政策の支援必要