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合意なき離脱、政府方針変更ない限り経済予測に反映せず=英中銀総裁
[ロンドン 26日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁は26日、英国の欧州連合(EU)離脱について、次期首相が合意なき離脱を決断しない限り、合意なき離脱のリスクを経済予測に反映させることはないと述べた。
総裁は議会財政委員会で「政府の政策が万が一変更になった場合は、それに応じて中銀の予測が変わる」と発言した。
中銀は先週、EU離脱が円滑に進むとの中銀の基本シナリオと、市場で高まる無秩序離脱の観測との間に明らかな不一致があると指摘している。
総裁は、次期首相候補のジョンソン前外相とハント外相の2人は可能であればEUとの合意を結びたいと発言していると指摘。
合意なき離脱となった場合は、金融を引き締めるよりも金融を緩和する可能性のほうが高いとの認識を改めて示した。
カーニー総裁の発言は、中銀が8月に公表する経済見通しで、ブレグジット(英のEU離脱)に関する基本前提を大きく変えない構えであることを示唆している。
中銀は円滑なブレグジットを前提に「緩やかかつ限定的な」引き締めが適当との方針を維持してきた。ただ、投資家の多くは、世界経済の減速や合意なき離脱のリスクを踏まえ、中銀とは異なるシナリオを描いており、利下げを織り込む動きも一部で出ている。
中銀の金融政策委員会(MPC)のソーンダーズ外部委員は、中銀と市場との認識の違いが中銀への信頼を損ねているとの見方を否定。
「われわれが対話に失敗しているとは思わない。政策委のインフレ目標達成への決意に関して信頼が失われつつあるとも思わない」と強調した。
ただ、投資会社ジャナス・ヘンダーソンのポートフォリオマネジャー、オリバー・ブラックバーン氏は、円滑なブレグジットを前提とする中銀の「見誤っている感が強くなっている」と指摘。ジョンソン前外相とハント外相がともに、必要ならば合意ないままEUを離脱する用意があると表明していることを理由に挙げた。
議会財政委員会でカーニー総裁は、合意がないままEUを離脱しても国際貿易ルールに基づいて貿易関税を回避できるとするジョンソン氏の主張を否定した前週の自身の発言について問われ、EUの合意がなければ非関税貿易は実現しないとの見解をあらためて示した。
ジョンソン氏の主張の根拠となっている関税および貿易に関する一般協定(GATT)第24条について、カーニー氏は「GATT第24条の適用には離脱協定が必要だとは言っていない。ただ、何らかの合意が必要になると述べた」と語り、ジョンソン氏が25日にカーニー総裁は間違っているとコメントしたことに反論した。
「何らかの合意や、自由貿易(協定)あるいは関税同盟に向けた信頼できる意思表示が必要だ」とした。