ニュース速報

三菱重、ボンバルディア小型機「CRJ」事業を約590億円で買収へ

2019年06月26日(水)13時51分

[25日 ロイター] - 三菱重工業<7011.T>は、カナダの航空機・鉄道車両大手ボンバルディアから同社の小型ジェット旅客機「CRJ」事業を買収することで合意した。買収額は約5億5000万ドル(約590億円)で、三菱重は2億ドル(約210億円)の債務も引き受ける。買収手続きは2020年上半期に完了する見通し。両社が25日に発表した。

三菱重はCRJ事業の保守・顧客サポート・改修・マーケティング・販売・型式証明のほか、カナダと米国にある計4カ所のサービス関連拠点を取得する。引き継ぐCRJの事業基盤を、傘下の三菱航空機が開発を進める国産初の小型ジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧名:三菱リージョナルジェット=MRJ)」の受注活動に生かす。90席クラスは20年半ばの初号機納入を目指しており、70席クラスの開発も計画している。

ボンバルディアは今後、民間旅客機事業から撤退し、ビジネスジェット事業や鉄道車両事業に集中する。CRJの製造と部品供給についてはボンバルディアが当面続けるが、20年以降の受注がなく、現在の受注分を納入後、20年後半に製造を終了する予定。

ボンバルディアは100―150席クラスの中型旅客機「Cシリーズ」の開発費負担などにより業績が悪化。Cシリーズ事業は欧州の航空機大手エアバスとの合弁にし、事実上エアバスの傘下にある。CRJは50―100席クラスの小型旅客機で、ブラジル・エンブラエルとの競争激化で受注が振るわず、売却を検討していた。

小型機の需要は増加傾向にあるものの、大型機に比べ採算が低く、エンブラエルの小型機事業も実質的に米航空機大手ボーイングの傘下に入っている。三菱重は今後ボーイング・エンブラエル連合との戦いを迫られる。

ボンバルティアと三菱重はこれまでも、CRJ事業を巡り交渉していることを明らかにしていた。

ボンバルディアのアラン・ベルマール最高経営責任者(CEO)はインタビューで、売却益の一部を債務削減のために使う計画であることを明らかにした。

売却益は一部のアナリストが想定していた規模を上回るとみられる。

アルタコープのアナリスト、クリス・マーレー氏は「予想以上のリターンが見込める。収益の足かせとなっていた分野における同社のエクスポージャーはなくなる」と説明した。

*内容を追加しました。

ロイター
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