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英CPI、5月は中銀目標に鈍化 PPIは3年ぶりの低い伸び
[ロンドン 19日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が発表した5月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前月から鈍化し、イングランド銀行(英中銀)の目標と一致した。生産者物価も3年ぶりの低い伸びとなり、英中銀は利上げを急ぐ必要はなさそうだ。
5月のCPIは前年比2.0%上昇で前月(2.1%上昇)から鈍化した。ロイターがまとめたエコノミスト予想とは一致した。
食品やエネルギーを除いたコアインフレ率は前年比1.7%上昇で、2017年1月以来の鈍い伸びとなった。こちらもエコノミスト予想と一致した。
ONSの当局者は「5月にインフレが鈍化したのは、航空運賃などの旅行関連の価格が、4月のイースター時期の高値から下落したため」と説明した。
英国のインフレ率は、欧州連合(EU)離脱を決定した2016年6月の国民投票後に進んだポンド安で高進し2017年11月に3.1%と5年ぶりの高水準を記録したが、その後、鈍化し英中銀の目標の2%に戻っている。
5月の生産者物価は、生産コストの消費者物価押し上げ圧力が目先弱いことを示した。
輸入品が多い原材料コストを反映する投入指数は前年比1.3%上昇。4月(4.5%上昇)から大幅に減速し2016年6月以来の低い伸びとなった。エコノミスト予想は0.8%上昇だった。
卸価格を反映する産出指数は前年比1.8%上昇で、こちらも4月(2.1%上昇)から鈍化し、2016年9月以来の低い伸びを記録した。エコノミスト予想は1.7%上昇だった。
インフレ圧力の弱さから利下げ観測が強まっているユーロ圏や米国と異なり、英中銀は景気過熱を防ぐためにいつかは引き締めが必要との認識を堅持している。
英国商工会議所の経済部門責任者シュレン・ティル氏は5月の統計を受け、「英中銀内では利上げ論が聞かれるが、インフレは比較的落ち着いており、政治・経済の不確実性の高まりもあることから、早期利上げの根拠は弱い」と述べた。
英中銀は20日に金融政策決定を発表するが、中銀が利上げ、利下げのどちらに前向きな姿勢を示すかが注目されている。
ONSが発表した4月の住宅価格は前年比1.4%上昇。ロンドンの住宅価格は1.2%下落し、10カ月連続の下落となった。
*内容を追加しました。