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中国「一帯一路」、途上国の発展支援 透明性確保必要=世銀
[ワシントン 18日 ロイター] - 世界銀行は18日、中国の広域経済圏構想「一帯一路」について、多くの途上国の経済発展が支援され、貧困撲滅につながるとの見方を示した。同時に、一段の透明性の確保が必要との見解も示した。
世銀は一帯一路構想が完全に実施されれば、3200万人が貧困から抜け出せると試算。ただ、透明性の欠如などを踏まえると同構想を巡る「大幅なリスク」は存在しているとの認識も示した。
ジェイラ・パザルバシオル副総裁(公正な成長・金融・組織担当)は声明で「一帯一路の目標達成には、参加国の積極的な改革実施が必要になる」と指摘。「特に債務を巡る透明性のほか、開放された政府調達、最も厳格な社会・環境基準の順守などが大きな助けとなる」と述べた。
世銀は報告書で、一部の参加国にとっては、インフラ整備のコスト負担が経済的利益を上回る可能性があり、参加国の間の利益配分も不平等になるとの分析結果を示した。実質所得の押し上げ率はキルギス、パキスタン、タイで8%を上回る可能性があるが、アゼルバイジャン、モンゴル、タジキスタンは高いインフラ整備コストが原因で社会保障面では不利益を被ることもあり得るという。
一帯一路の経済回廊に参加する諸国は貿易制限を緩和し、税関審査の遅延を解消するための改革を実施すれば、実質所得が現状の2─4倍に拡大する可能性があるとした。
報告書はまた、民間企業の参加拡大が一帯一路構想を長期持続する一助になると指摘。ただ、参加国は法や規制の整備も含め、投資環境を改善する改革を実行する必要があると注文を付けた。
参画企業の選定手続きに関しては「ほとんど情報がない」とした上で、オープンで透明性のある公的調達といった国際的に最良の慣行(ベストプラクティス)を目指すことで、一帯一路の事業が最もふさわしい企業に割り当てられる可能性が高まると主張した。
事業における融資などの条件についても透明性の向上が必要と指摘。透明性が確保されれば、参加国は債務の持続可能性へのリスクを評価できると説明した。
*内容を追加しました。