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ユーロ圏財務相、債務再編改革で一致 共通予算は合意できず
[ルクセンブルク 14日 ロイター] - ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)は14日、ユーロ圏加盟国が発行した国債の債務再編を容易にする新たなルールについて合意した。欧州連合(EU)当局者2人がロイターに明らかにしたもので、新ルールの下、ユーロ圏国債に関して、債権者が債務再編や元本削減(ヘアカット)を阻止することが難しくなる。
新ルールは、多数の債権者の合意に基づき、返済期限や元本の削減などを事後的に変更できる集団行動条項(CAC)において、債権者の決定を一括して対象債券全体に適用する「一肢方式(single-limb)」を認めるもので、2022年1月1日以降に発行される償還期限1年以上の国債が対象となる。
これまでは発行回ごとに債権者の同意を必要としていたため、少数の債権者の反対によって債務再編が困難になる事態、いわゆるホールドアウトの可能性が常に付きまとっていた。
一方、新ルールが導入されれば高水準な債務を抱える国について投資家が債務再編リスクが高いとみなし、国債利回りを押し上げる恐れがあるとも指摘されている。
新ルールは欧州安定メカニズム(ESM)を規定する条約見直しの一環。当局者らによると、一部条項の解釈を巡って各国間ですり合わせが必要となるため、今回指針の公表は見送られた。調整作業は12月までかかる可能性があるという。
ユーロ圏共通予算の導入については一定の進展があったものの、予算規模や財源を巡って合意できなかった。ユーログループのセンテノ議長(ポルトガル財務相)が明らかにした。
マクロン仏大統領は2017年、経済の安定化支援に向け、ユーロ圏共通予算の創設案を打ち出したが、EU首脳は昨年12月、「競争力と収束性のある予算手段」が存在すべきとの認識で一致。財源や規模、ガバナンス、目的については6月の次回首脳会議までに財務相が決定することとしていた。
マクロン大統領は、ユーロ圏共通予算の財源として、既存のEU予算や新税を当てることを提案している。一方、オランダは共通予算という概念自体に反対しているほか、EU予算以外から財源を求めることや、景気安定化の目的に活用することに異議を唱えている。
今回の会合では、いかなる選択肢も排除されなかったという。財源や規模、景気安定化に向けた活用の是非については、今後も議論を継続することとなった。
会合では、ユーロ圏共通予算をEU予算の一部とすることや、EU予算との関連で規模を決定することなど、予算に関する一連の指針について合意した。来週のEU首脳会議に提示する。
EUのモスコビシ欧州委員(経済・財務・税制担当)は記者会見で「現在の状況下では、到達できる最良の合意だ」とコメントした。
センテノ議長(ポルトガル財務相)は、欧州安定メカニズム(ESM)の改革で「大枠合意」に達したことも明らかにした。将来の金融危機への対応でESMに新たな権限を付与する。法律文書の作成など、今後数カ月かけて最終調整が必要になる。
共通の預金保険制度の設立については合意が成立しなかった。共通の預金保険制度は、ユーロ圏の銀行同盟と将来の金融危機への耐性を強化する上で鍵を握るとされているが、意見の対立が激しい。
*内容を追加しました。