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ムニューシン米財務長官、対中関税見送った昨年12月との共通点指摘

2019年06月08日(土)22時24分

[福岡市 8日 ロイター] - ムニューシン米財務長官は8日、今月下旬の開催が取りざたされている米中首脳会談について、関税引き上げが延期された昨年12月のブエノスアイレスサミットと一定の共通点がある、との認識を示した。

20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の合間、ロイターとのインタビューで述べた。

長官は、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席がG20首脳会議の合間に会談した2018年12月も、米国の対中関税引き上げが迫っており、今回と同じような状況だったと指摘。

トランプ政権は現在、大阪でのG20首脳会議を6月28─29日に控える中、中国からの輸入品で制裁関税の対象になっていない残り3000億ドル相当についても25%の制裁関税を発動する構えをみせている。

長官は「対中関税は引き上げられるところだったが、ブエノスアイレス会談の結果、トランプ大統領は交渉中は関税を引き上げないことで合意した」と説明。大阪での会談も同じような結果になると思うか、との質問に対しては「それは大統領が決めることだ」と答えた。

ムニューシン財務長官はインタビューに先立って開いた会見で、大阪での米中協議が貿易通商協議再開の「主な進展」となる可能性を指摘した。協議について中国側の確認はとれていない。

9日の易人民銀行総裁との会談については、通商問題は議題になるが「交渉のための会談ではない」と述べ期待を打ち消した。

トランプ政権は中国との交渉の結果に満足しており、追加の対中関税が発動されればより多くの企業に中国からの移動を促すことになると指摘。

「もし正しい合意ができれば、素晴らしいことだ。できなければ米国は関税を進める」と述べた。

また、5月初めに決裂した米中通商協議について、中国が一部の合意事項を後退させるまでは「歴史的な合意」の九合目まで到達していたと指摘。中国が決裂前の合意文書案に基づき米と再び交渉することを望むなら応じる用意があると述べた。

米国は対中貿易赤字の縮小を目指し、中国との自由で公平、均衡のとれた貿易を望んでいるとし、「それがかなわなければ、(関税が原因で)多くの企業が中国から生産拠点を移すことになると予期している」と語った。

また、米財務省は中国の為替市場における介入の兆候を注視していると述べ、市場が人民銀行による人民元支援に慣れている可能性に言及した。

もし支援が突然止まれば、「市場は通貨安容認と解釈する可能性がある」と述べた。中国が意図的に元を押し下げようとしているとみているかとの質問にはコメントを控えた。

長官は、麻生太郎財務相との会談では貿易問題について話し合う意向はないと述べた。

*情報を追加しました。

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