ニュース速報

欧州議会選で敗北の英二大政党、EU離脱問題の打開目指す

2019年05月28日(火)01時40分

[ロンドン 27日 ロイター] - 英国の欧州議会選でブレグジット党に敗れた二大政党の与党・保守党と最大野党・労働党は、欧州連合(EU)離脱問題の打開を目指す方針を示した。

保守党は、今回の選挙結果で有権者がEU離脱を望んでいることが明らかになったと指摘。労働党は、総選挙や2度目の国民投票など、国民の投票が必要だと訴えた。

欧州議会選では、EU離脱を目指すブレグジット党が圧勝。EU残留を掲げる勢力も躍進しており、二大政党はEU離脱を巡る方針を明確にする必要に迫られていた。

保守党の党首候補の1人であるジャビド内相は、今回の保守党の選挙結果に「大きく失望した」と表明。「有権者は(EU離脱の)推進を我々に求めている」とツイッターに投稿した。

保守党では新たな党首が7月末までに就任する見通し。メイ氏の後任候補の多くは欧州議会選の結果について、EUから決定的に離脱する必要があるという国民の意思を反映していると受け止める公算が大きい。

次期保守党党首の有力候補の1人と見なされているボリス・ジョンソン前外相はテレグラフ紙に定期的に寄稿しているコラムで、「現状が継続すれば、われわれは与党としての信認を失うことになる」とし、「われわれは(EU離脱を)実行に移さなければならず、われわれにはその能力がある。理性を持つなら、合意なき離脱のみを追求することはないが、責任を持つなら、合意なき離脱を排除することはない」との考えを示した。

ジョンソン氏はメイ首相が6月7日に辞任すると発表した直後、英国は条件などで合意がないままEUから離脱する用意を整えておく必要があるとの考えを示している。

労働党の「影の財務相」を務めるジョン・マクドネル氏はツイッターで、一致団結すべき時だと表明。国民の投票が必要とし、労働党の最優先課題は総選挙の実施だと主張した。コービン党首は、声明で「(EU離脱を巡る問題は)総選挙、もしくは国民投票との形で国民に差し戻される必要がある」とした上で、労働党は合意なき離脱の回避を最優先するとの党方針を改めて表明した。

ただ次期首相が期日の10月31日までにEUを断固として離脱する姿勢を示す公算が大きい中、労働党のこうした方針の実施は、これまでの予想以上に困難になる可能性が高くなっている。

欧州議会選ではナイジェル・ファラージ氏率いるブレグジット党がEU離脱を実現できていないメイ政権に対する批判票を集め、31.6%の票を獲得。ファラージ氏は「10月31日にEUを離脱しなかった場合、総選挙でも今回の欧州議会選と同様の結果が得られることになる」と述べた。

ただブレクジット党が躍進したものの、親EU派の自由民主党、緑の党、「チェンジUK」の得票率は合計で35.8%。選挙専門家のジョン・カーティス氏は今回の欧州議会選について「明確な方向性はまったく示されなかった」とし、「国民の大半が満足できる離脱プロセスの模索がいかに困難かが改めて浮き彫りにされたに過ぎなかった」と述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルのミサイルがイラン拠点直撃、空港で爆発音

ワールド

ロシア凍結資産、G7がウクライナ融資の担保に活用検

ビジネス

リスクオフ加速、日経1200円超安 イスラエルがイ

ワールド

トランプ氏口止め事件公判、陪審員12人選任 22日
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中