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インフレ率が今後も失望的なら利下げの可能性も=セントルイス連銀総裁
[香港 22日 ロイター] - 米セントルイス地区連銀のブラード総裁は22日、インフレ率が一段と弱い数字になれば、米連邦準備理事会(FRB)は利下げに踏み切る可能性もあると述べた。
同総裁は香港での外国特派員クラブでの講演のために準備したプレゼンテーションで、2%というFRBのインフレ目標の未達リスクと貿易戦争の2つが、連邦公開市場委員会(FOMC)にとってマクロ経済面での主要課題だとの認識を示した。
FRBは5月のFOMCで金利据え置きを決定。パウエル議長は、利下げ・利上げともにいずれの方向にも動かす強い根拠は確認していないとの認識を示した。
ただ、ブラード総裁はこの日、「実体経済の状況が比較的良好でも、政策金利の下方への調整はFOMCのインフレ目標の信頼性維持に寄与する可能性がある」と指摘。
「この種の政策金利の動きは、インフレ統計が引き続き失望的なら利下げがより魅力的な選択肢となる可能性を示している」と述べた。
FOMCで投票権を持つブラード総裁とシカゴ地区連銀のエバンズ総裁はここ数日、インフレ目標未達に対する懸念を表明している。
ブラード総裁は22日、今年も目標を下回るリスクがあると指摘した。
ブラード総裁は、今後の政策調整は指標に対応するものとなり、金利正常化プロセスの継続とはならないと発言。経済成長の見通しには引き続き楽観的な姿勢を示した。
総裁によると、1994年初めから1995年初めにかけて政策金利は300ベーシスポイント(bp)引き上げられたが、1990年代後半の景気は依然として好調だった。金利の正常化を進めても、長期の成長見通しに悪影響が出ない可能性があるという。
<通商リスク>
通商問題については、近く合意に達するだろうと予想。ただ、合意が成立せず、高い障壁が設けられ維持されれば、中期的に世界の貿易パターンが変わる可能性があるとの見方を示した。
総裁は、貿易摩擦とインフレ目標未達は「景気拡大の持続を支援するため、FOMCが慎重に歩む必要性を示している」と述べた。
米中通商協議については、中国が「要求されたことすべて」に同意すべきだと指摘し、そうすることが中国国内経済に寄与すると説明した。
「中国は、国内で貿易について信頼を構築し、海外投資家に対しても中国に投資可能で適切に扱われるとあらためて保証することになる。それが実現すれば、中国経済の行く先には青空が広がるだろう」とし「中国の信頼性に疑念を持っているのは米国だけではない。世界の多くのグローバルプレーヤーが、ビジネスがしづらい場所と感じている」と述べた。
*内容を追加しました。