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中国、WTO「存続の危機」と警告 暗に米国を非難
[ジュネーブ 13日 ロイター] - 中国は13日、世界貿易機関(WTO)の改革を提案する文書で、「ある特定の加盟国」がWTOの承認を受けずに一方的に貿易障壁と輸入関税を恣意的に引き上げたと批判した。ただ米国を直接名指しすることは控えた。
WTOのウェブサイトに掲載された文書によると、中国はWTOの紛争処理機関の判事任命の阻止、アルミニウム、鉄鋼、自動車に対する「国家安全保障」上の関税措置など、米国のトランプ政権が独自にとっている政策を列挙。「国家安全保障を理由にした例外措置の乱用、WTO規則に整合しない一方的な措置に加え、貿易是正措置の誤用もしくは乱用により、規則に基づく自由で開放的な国際貿易の秩序は著しく阻害された」との見解を示した。
その上で「こうした慣習により、特にWTOに加盟する途上国の利益が著しく阻害されたほか、WTOの権威、および効力が損なわれた。結果として、WTOは過去に例を見ない存続の危機にさらされている」と警告した。
中国はWTOは完全無欠な存在ではないとしながらも、世界的な貿易と投資を円滑に進めるには最も望ましい機関であるとの考えを表明。WTOの改革は「WTOの存在そのものを脅かす重要でかつ喫緊の課題の解決」や「多角的な貿易システムの推進」などを含む4点の柱で進める必要があると提唱した。
米中間の貿易摩擦は高まっており、米国が10日付で中国からの2000億ドル相当の輸入品に対する関税を10%から25%に引き上げたのに対し、中国はこの日、報復措置として6月1日付で米国からの600億ドル相当の輸入品に対する追加関税を最大25%に引き上げる方針を発表した。