ニュース速報

NY市場サマリー(10日)

2019年05月11日(土)07時19分

[10日 ロイター] - <為替> ドルが円に対し小幅上昇。米中が通商協議で妥協点を見いだすとの慎重ながらも楽観的な見方が広がったことが背景にある。ただ、市場は全般的に小動きにとどまった。

ドル/円は0.13%高の109.89円。

楽観的な見方を反映し、豪ドルも対米ドルで0.14%上昇した。

主要6通貨に対するドル指数<.DXY>は0.04%安の97.331だった。

ドイツ銀の為替戦略グローバル主任のアラン・ラスキン氏は、週初にはドル/円を中心に目立ったリスクオフ取引も見られたものの、「この日はそうした動きは継続しなかった」と述べた。

2日間の日程でワシントンで開催されていた米中通商協議は終了し、トランプ大統領は中国との合意を急いでいないとの認識を示した。協議に臨んだムニューシン財務長官は中国との話し合いが「建設的」だったと評価。中国の劉鶴副首相もブルームバーグに対し、協議は「極めて良好」だったと語った。

前出のラスキン氏は「協議は継続するもようで、当面かなりのノイズが想定されるが、最終的には何らかの合意に至るだろう」と述べた。

また、米政府はこの日、中国からの2000億ドル相当の輸入品に対する関税を10%から25%に引き上げた。中国は対抗措置に動く構えを示している。

対中関税引き上げを背景に、米連邦準備理事会(FRB)が年内に利下げを実施するとの観測が高まった。

朝方発表された4月の米消費者物価指数(CPI)は前月比0.3%上昇だった。基調的な物価は小幅な伸びにとどまり、FRBが当面金利を据え置くことを示唆した。

カナダドル/米ドルは0.43%高で、3月以来の伸びを記録。4月のカナダ雇用統計で雇用者数が10万6500人増と、過去最高の伸びだったことが追い風になった。

<債券> 国債利回りはほぼ変わらず。長期債利回りは5週ぶりの低水準で推移した。米中貿易摩擦を巡る懸念が緩和した一方、国内インフレ率の伸び率が予想を下回った。

米国は10日、中国からの2000億ドル相当の輸入品に対する関税を引き上げた一方、中国は対抗措置を講じる考えを示した。こうした中、この日2日目を迎えた米中通商協議では、双方から更なる協議に向け順調との声が聞かれた。

トランプ大統領はこの日発信した一連のツイッターで「今後の協議の進展次第で、対中関税は撤廃か維持されることになる」と述べた。

ただ米中が通商面での意見の相違を解決し合意に達するかについては疑問が残るという。SGコーポレート&インベストメント・バンキングの米金利戦略主任スバドラ・ラジャッパ氏は「進展は何もみられず、交渉は長引きそうだ」と述べた。

米市場終盤の取引では、指標10年債利回りが0.3ベーシスポイント(bp)上昇の2.4601%で推移。前日には2.424%と5週ぶりの低水準を付けた。

週間では7bp低下。低下幅は7週ぶりの大きさだった。

2年債利回りは1bp低下の2.2579%。週間では8bp低下した。

序盤の取引では、4月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想をわずかに下回ったことを受け、米債利回りが低下した。

<株式> 上下に振れる展開となり、ダウ平均株価は結局114ドル高で取引を終えた。当初は300ドル超値下がりしていたものの、米中通商協議は建設的だったとトランプ大統領らが明らかにしたことを受け、値上がりに転じた。

ワシントンで開かれていた米中通商協議は10日、2日目の会合が終了した。ムニューシン財務長官は中国との話し合いは「建設的」だったと評価。トランプ大統領は「2日間の協議で米中は貿易関係を巡り率直かつ建設的に対話した」とし、協議は継続すると語った。「今後の協議の進展次第で、対中関税は撤廃か維持されることになるだろう!」とも述べた。

ブルーダーマン・アセットマネジメント(ニューヨーク)の主任市場ストラテジスト、オリバー・パーシ氏は「トランプ氏やムニューシン氏の発言は戦略の変更を示すものではなく、むしろ政治的な意味合いが強い」とした上で「当社の投資方針に変更はない。短期的には中国が通商合意を求めるが、長期的には米国の方が合意を求めることになり、双方のバランスが取れている」と指摘した。

週間ではS&P500指数が2.17%安、ハイテク株の多いナスダック総合指数は3.03%安と年初来の大幅な下げとなった。ダウ平均は2.12%安。

個別銘柄では配車サービス大手リフトがこの日ニューヨーク証券取引所に上場。初値は42ドルで、新規株式公開(IPO)価格の45ドルを下回った。終値は7.6%安の41.57ドル。

同業のリフトは一時9%急落し50.02ドルと最安値を更新した。

インターネットセキュリティー大手のシマンテックは16%急落し、18.60ドル。グレッグ・クラーク最高経営責任者(CEO)の退職が嫌気された。幹部の退職は過去半年間で5人目となる。

半導体株は全般的に持ち直しの動き。ただフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)<.SOX>は週間で5.8%安。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.85対1の比率で上回った。ナスダックでも1.22対1で値上がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は74億4000万株。直近20営業日の平均は69億株。

<金先物> 米中貿易戦争の行方に注目が集まる中、安全資産としての金買いが優勢となり、小幅に続伸した。中心限月6月物の清算値は前日比2.20ドル(0.17%)高の1オンス=1287.40ドル。

米中両国は前日に続きこの日も閣僚級貿易協議を行った。ただ、米メディアは9日の協議では「ほとんど進展が見られなかった」と報道。また、トランプ米政権は予定通り10日に中国からの輸入品2000億ドル(約22兆円)相当に課している追加関税を10%から25%へ引き上げを実施し、中国側も報復措置を発動する構えを見せているため、投資家のリスク回避姿勢が強まる中、この日は未明から安全資産とされる金買いが優勢となった。さらに、外国為替市場でドル安・ユーロ高が先行したこともドル建てで取引される金の割安感につながり、相場を押し上げた。

ただトランプ大統領は10日のツイッターで、対中協議に関し「急ぐ必要は全くない」と表明。米中貿易交渉の行方を慎重に見極めたいとの思惑が広がったため、上値は抑えられた。

<米原油先物> 米中貿易協議に対する警戒感が上値を抑える一方、世界的な供給逼迫(ひっぱく)懸念が下値を支えたことから、ほぼ横ばいとなった。米国産標準油種WTIの中心限月6月物の清算値は前日比0.04ドル(0.06%)安の1バレル=61.66ドル。週間では0.45%安となった。7月物の清算値は0.01ドル安の61.80ドル。トランプ米政権は10日、中国からの輸入品2000億ドル相当に課している関税を10%から25%に引き上げた。これに対し、中国は報復措置を取る可能性に言及。両国による貿易交渉は今後も継続されるとみられるものの、話し合いが難航を極めて交渉が長期化すれば世界景気が減速し、エネルギー需要の減退を招くとの懸念がくすぶっていたため、相場の上値は重かった。

一方、米国による制裁強化を受けてイラン産やベネズエラ産の原油輸出が一段と減少し、供給が逼迫するのではないかとの懸念が引き続き支援材料。また、米国とイランの間で軍事的な緊張が高まっていることも相場を下支えしたもよう。このため、相場は終日にわたり方向感を探る展開となった。

米石油サービス会社ベーカー・ヒューズがこの日午後に公表した統計によると、10日までの1週間の国内石油掘削リグ稼働数は前週比2基減の805基。前週から減少に転じていたが、ほとんど材料視されなかった。

ドル/円 NY終値 109.94/109.95

始値 109.75

高値 110.04

安値 109.48

ユーロ/ドル NY終値 1.1233/1.1237

始値 1.1232

高値 1.1253

安値 1.1225

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 99*22.50 2.8899%

前営業日終値 99*28.13 2.8810%

10年債(指標銘柄) 17時05分 99*04.50 2.4725%

前営業日終値 99*09.00 2.4570%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*29.25 2.2683%

前営業日終値 99*31.50 2.2530%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*30.63 2.2723%

前営業日終値 99*30.88 2.2680%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 25942.37 +114.01 +0.44 <.DJI>

前営業日終値 25828.36

ナスダック総合 7916.94 +6.35 +0.08 <.IXIC>

前営業日終値 7910.59

S&P総合500種 2881.40 +10.68 +0.37 <.SPX>

前営業日終値 2870.72

COMEX金 6月限 1287.4 +2.2 <0#GC:>

前営業日終値 1285.2

COMEX銀 7月限 1479.0 +1.7 <0#SI:>

前営業日終値 1477.3

北海ブレント 7月限 70.62 +0.23 <0#LCO:>

前営業日終値 70.39

米WTI先物 6月限 61.66 ‐0.04 <0#CL:>

前営業日終値 61.70

CRB商品指数 178.9538 ‐0.0526 <.TRCCRB>

前営業日終値 179.0064

ロイター
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