ニュース速報

欧州市場サマリー(10日)

2019年05月11日(土)03時57分

[10日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 続落して取引を終えた。ドル安に伴い海外での収益が多い輸出銘柄が値下がりした。

米中通商協議について投資家は、米国の中国製品に対する関税が発動する中でも両国が妥結すると期待。リスク志向の強まりとともにドルが下落し、輸出銘柄の売り材料となった。

製薬のアストラゼネカは2.3%下落した。開発中の貧血症治療薬の臨床試験結果が曖昧な内容だったことが嫌気された。

一方、航空会社ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)の親会社IAGは1.9%高。四半期利益が市場予想と一致したことで買い安心感が広がった。

小型株では南アフリカのプラチナ生産会社ロンミンが4.9%下落し、3カ月超ぶりの安値を付けた。鉱山会社シバニエ・スティルウォーターによる買収が遅れていることが一因で、売り上げが目標範囲の下限に迫るとの見通しを示したことが嫌気された。

<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。鉄鋼のティッセンクルップやディフェンシブ銘柄が買われた。

この日は米中通商協議の2日目だった。米国による中国製品に対する関税の引き上げが発動する中、トランプ米大統領は中国との合意は急いでいないと発言。両国が土壇場で合意に至るとの期待が打ち砕かれた。ディフェンシブ銘柄が買われ、不動産株指数<.SX86P>は0.27%、公益事業株<.SX6P>は1.08%それぞれ上昇した。

ティッセンクルップは28.2%急騰。好調なエレベーター事業をスピンオフ(分離・独立)し、新たな事業再編計画を進めるとの報道を受け、買い戻しが入った。ドイツのクセトラDAX指数<.GDAXI>は0.72%上昇した。

一方、自動車・部品株指数<.SXAP>は0.95%低下し1カ月超ぶりの安値となった。ドイツの自動車大手ダイムラーが3.2%下落し、相場の重しになった。自動車銘柄は貿易摩擦の影響を受けやすい。

<ユーロ圏債券> 国債利回りがわずかに上昇した。週間では独10年債利回りが7週ぶりの大幅な低下となった。米中貿易摩擦の再燃が経済成長見通しに関する懸念の高まりにつながった。

米政府は10日、中国からの2000億ドル相当の輸入品に対する関税を10%から25%に引き上げた。これに対し中国商務省は、米国の関税引き上げは「非常に遺憾だ」とする声明を発表し、対抗措置を講じる考えを示した。

中国や欧州の株式市場では米国の対中関税引き上げの影響は限定的だった。これを受け、安全資産である独10年債利回りは前日に付けた6週ぶりの低水準(マイナス0.069%)から切り返した。

もっとも独10年債利回りは週間で約7ベーシスポイント(bp)低下。ナティクシスの債券ストラテジスト、シリル・レニャ氏は「独10年債利回りのプラス圏回復時に一部の投資家が購入したのだろう」と述べた。

独2年債利回りは今年最低水準近辺で推移。オランダの10年債利回りも週間で6週ぶりの大幅な低下となる見込み。

INGのシニア金利ストラテジスト、ベンジャミン・シュレーダー氏は「米中通商協議の膠着状態が長期化する可能性から欧州の経済成長率に対する一時的な楽観論が後退しているようだ。加えて財政懸念も再燃している」と述べた。

今週大幅に売られていたイタリア債はこの日一服。イタリア10年債利回りは2.685%とやや低下した。週間では13bp上昇し、3カ月ぶりの大幅な上昇となる見込み。

イタリアのトリア経済・財務相は9日、「財政協定」として知られる欧州連合(EU)の規定は経済に悪影響を与えるため、廃止されるべきと指摘。市場ではEUとの対立が重しになるとし、「現水準では欧州議会選挙に向けイタリア債券をショートするだろう」(ラボバンク)との声が出ていた。

<為替> 欧州終盤 アジア市場終盤 コード

ユーロ/ドル    1.1241 1.1224

ドル/円 109.54 109.75

ユーロ/円 123.14 123.20

<株式指数> 終値 前日比 % 前営業日終値 コード

STOXX欧州600種 377.14 +1.22 +0.32 375.92 <.STOXX>

FTSEユーロファースト300種 1481.43 +3.72 +0.25 1477.71 <.FTEU3>

DJユーロSTOXX50種 3361.05 +10.34 +0.31 3350.71 <.STOXX50E>

FTSE100種 7203.29 -4.12 -0.06 7207.41 <.FTSE>

クセトラDAX 12059.8 +85.91 +0.72 11973.92 <.GDAXI>

3

CAC40種 5327.44 +14.28 +0.27 5313.16 <.FCHI>

<金現物> 午後 コード

値決め 1287.1

>

<金利・債券>

米東部時間13時52分

*先物 清算値 前日比 前営業日終盤 コード

3カ月物ユーロ 100.31 0.00 100.31

独連邦債2年物 112.00 -0.01 112.01

独連邦債5年物 133.30 0.00 133.30

独連邦債10年物 166.25 -0.01 166.26

独連邦債30年物 190.78 -0.18 190.96

*現物利回り 現在値 前日比 前営業日終盤 コード

独連邦債2年物 -0.621 +0.007 -0.625

独連邦債5年物 -0.464 +0.003 -0.472

独連邦債10年物 -0.040 +0.002 -0.048

独連邦債30年物 0.612 +0.008 0.601

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=下落、予想下回るGDPが圧迫

ビジネス

再送-〔ロイターネクスト〕米第1四半期GDPは上方

ワールド

中国の対ロ支援、西側諸国との関係閉ざす=NATO事

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円以外で下落 第1四半期は低
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中