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焦点:米国経済の悲観払しょく、足元の企業業績や指標で
Trevor Hunnicutt
[ニューヨーク 25日 ロイター] - 米国の住宅市場に関する暗いニュースが相次いだことから、住宅建設大手パルトグループ
しかしパルトのライアン・マーシャル最高経営責任者(CEO)は24日の決算発表で「2019年は住宅産業にとって良い年になり得る」と述べ、意外にも明るい展望を示した。この日発表の新築住宅販売も1─3月期が前年比15%近い増加と6年ぶりの高い伸びとなり、マーシャル氏の見通しを裏付けた。
投資家の悲観論が覆されたのは、住宅セクターだけではない。コカ・コーラ
実際のところ今年初めには米景気には逆風となる材料が目白押しだった。政府機関の一部閉鎖、追加関税や通商問題を巡る先行き不透明感、ドル高に荒天、昨年末の株価乱高下、さらには大型減税の効果も薄れていた。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのブライアン・ローズ最高投資責任者(CIO)は、今年初めの小売売上高統計が弱く、「第1・四半期は極めて弱い数字になると見込んでいた」という。
ところが第1・四半期は後半に入ると雇用と賃金、そして小売売上高が改善を示した。
アナリストは3月半ばの時点では企業業績の悪化を恐れ、一部にはその後に米国が景気後退に陥るのではないかとの不安が広がっていた。以前には3年ぶりの減益が予想されていたS&P総合500種構成企業の第1・四半期業績は、リフィニティブI/B/E/Sのデータによると、増益基調を維持しそうな様相へと変わってきている。
経済全般の動向を示す指標も改善が進んでいる。アトランタ地区連銀の経済予測モデル「GDPナウ」は第1・四半期の米国内総生産(GDP)伸び率を年率2.7%と見込んでおり、ロイター調査の予想コンセンサスは2.0%となっている。昨年第4・四半期の実績は2.2%だった。
米連邦準備理事会(FRB)は3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ停止の方針を決定。労働市場の引き締まりによる賃金上昇を背景に、消費者も嵐を乗り切った。
もちろんまだリスクは残っている。ウィルミントン・トラストのトニー・ロスCIOは、米中貿易協議が決裂して追加関税が発動されれば米景気を巡る安心感は消滅すると指摘。「中国と米国が協議を決裂させるほど余裕があるとは思わない」と前置きした上で、もし本当に追加関税が導入されると市場は大混乱に陥ると警告した。
また、企業利益の伸びは鈍く、各社は設備投資の拡大に二の足を踏むかもしれない。賃金などコスト上昇で利幅が縮小すればなおさらだ。
ただ、失業率は50年ぶりの低水準で労働市場は耐久力を備えており、この点が米景気のエンジンである個人消費の伸びを支える強力な基盤となっている。
UBSのローズ氏は「米国の消費を見る上で最も重要な基礎的諸条件は労働市場であり、その労働市場は極めて堅調だ」と述べた。