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東アジア通貨協力、円・人民元融通を本格議論へ=関係筋
[東京 26日 ロイター] - 日中韓とASEAN(東アジア諸国連合)諸国は、金融危機の際に米ドルを融通しあう現行の枠組みで、日本円や人民元などアジア現地通貨も融通する方向で議論する。国際金融市場が緊張し米ドル調達が難しくなっても域内通貨で補完できるシステムの構築を目指す。関係筋が明らかにした。
日中韓とASEAN諸国は1997年のアジア通貨危機を踏まえ、2000年に域内のドル資金を融通するため、「チェンマイ・イニシアティブ」と呼ばれる仕組みを構築した。アジアの余剰資金を国際資本市場で活用したい米国が強く反対するなか、現日銀総裁の黒田東彦氏などが尽力して実現した経緯がある。その後随時規模を拡大、2014年には資金規模を1200億ドルから2400億ドルに引き上げた。
一方、中国を中心としたアジア経済の成長が続くなかで、「アジア域内の実物経済統合が進み、域内通貨による取引増に伴い、域内通貨が不足した場合に融通して欲しいとのニーズがあるだろう」(財務省高官)との議論がある。5月2日にフィジーで開かれる、日中韓・ASEAN財務相・中央銀行総裁会議で、域内で現地通貨の融通に関して本格的な議論が行われる見通し。「欧州連合(EU)も発端が関税同盟であった」(同)ことなどから、アジア域内の経済協力深化に期待を示す声も出ている。
もっとも決済通貨として米ドルが世界で幅広く使われていることが国力の柱の一つとなっている米国の今後の反応は不透明。少なくとも「人民元の国際化には米国は神経質」(政府関係者)とされ、今後の議論が注目される。
(竹本能文※)