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ECB、金利据え置き ドラギ総裁「政策手段いくらでもある」
[フランクフルト 10日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は10日、予想通り主要政策金利を据え置くとともに、金利ガイダンスも維持した。ドラギ総裁は理事会後の会見で「政策手段はいくらでもある」と述べ、域内経済の減速が継続した場合でも追加策を講じることは可能との認識を示した。
ECBはすでに利上げ開始の先送りを表明しているが、さえない外需がドイツ経済などに影を落とす中で、さらなる政策対応を求める声が強まっている。
主要政策金利のリファイナンス金利は0.00%、限界貸出金利は0.25%、中銀預金金利はマイナス0.40%にそれぞれ据え置いた。
ECBは声明で「理事会は、主要政策金利が少なくとも今年末にかけて、また必要な間、現行水準にとどまると予想している」とし、金利ガイダンスを再確認した。
ドラギ総裁は、銀行へのマイナス金利の影響軽減策のほか、貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)第3弾(TLTRO─III)のプライシングについて理事会が検討していることを認める一方、決断は時期尚早と指摘。「これから6月までに入ってくる一段のデータの見極めが必要」と述べ、6月に決定を持ち越す考えを示した。
銀行への軽減策とみられる中銀預金金利の階層化については、「賛否について討議していない」とし、さらなる分析が必要との総意があったと明かした。中銀預金金利を階層化すれば、預金金利を現行のマイナス0.40%に据え置いたり、さらに引き下げることが容易になるとみられる。
バークレイズのエコノミストは「世界経済や域内経済の成長が弱まり、米連邦準備理事会(FRB)が利下げ開始を示唆した場合、ECBも(ユーロ高回避などを狙い)FRBに追従する形で金融緩和の実施や預金金利の階層化を迫られる可能性がある」と指摘した。
ドラギ総裁は、世界的な貿易摩擦やその他の不確実性に関連して下振れリスクが高まっていることを強調。「入手データは引き続き弱く、製造業で顕著だ。成長の勢いが鈍化する傾向は今年にかけて続く見通し」とした。
それでも、インフレ率低下が9月に「おそらく底を打つ」と述べ、理事会メンバーは経済の基調的な強さを認めていると言及。ユーロ圏経済について「予想される景気後退(リセッション)リスクは引き続き低い」と語った。
また「ECBはこれまで、多数の(政策)手段があることを証明してきた。そうしたECBの対応能力を市場は完全に理解していることが相場の動きから分かる」とした。
トランプ米大統領による欧州製品への関税導入表明については、「全面的な信頼を確実に低下させる」とする一方、貿易政策に関する発言は直接的な行動に結び付かないこともあるとした。
*内容を追加しました。