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焦点:ジャンク債好調、米国株の強気相場さらなる継続を示唆か
[ニューヨーク 3日 ロイター] - 今年第1・四半期は米国株が約10年ぶりの上昇率を記録したが、それよりも好調だったのが高利回り債(ジャンク債)で、足元は最高値水準に復帰している。長らく続いた両市場の相関関係を踏まえると、株価も近く最高値圏に戻り、強気相場がさらに続く可能性がある。
オッペンハイマー・ファンズのクリシュナ・メマニ最高投資責任者は「われわれはこの上昇サイクルが(他の人々が)思っているよりずっと長いと考えている。今年や来年では終わらず、あと2─3年は続く」と話した。
米国株とジャンク債は昨年終盤に激しく売り込まれたものの、S&P総合500種は今年これまでに15%上がり、ICEメリルリンチ米高利回り債指数の年初来リターンは7.6%に達する。
地合い好転をもたらした最も明確な要因は、米連邦準備理事会(FRB)のハト派姿勢への転換だ。結果的に米国債などの安全資産の利回りが低下し、株式やジャンク債といったリスク性資産への追い風になった。
株式とジャンク債は連動して動くことが多い。ただし局面の大きな転換点を定めたり、未踏の領域に踏み込む可能性を示唆する面では、ジャンク債が先行するケースが少なくない。
例えば10年前には、金融危機の売りからジャンク債が持ち直し始めてから2カ月余りを経て、S&P総合500種とダウ工業株30種はようやく底を打った。最近では、2015─16年と18年初めに株式とジャンク債が見舞われた大幅な調整後の値動きを見ると、ジャンク債の方が株式よりも数週間早く最高値を付けている。
現在の状況は、ジャンク債が2月初め以降の新高値で推移している一方、S&P総合500種は昨年12月の安値から22%上がり、昨秋の最高値水準まであと約2%という局面にある。
<乏しい裏付け>
もっとも株式とジャンク債の値上がりの背景に目を向ければ、経済を取り巻く不確実性はここ数年で一番大きく、突然垂れ込めた暗雲によってFRBは利上げの停止に追い込まれた。
また株式とジャンク債の双方にとって等しく重要な問題は、企業収益の見通しが悪化していることだ。リフィニティブによると、第1・四半期のS&P総合500種銘柄の利益は、16年以降で初めて減少するかもしれない。今年全体の増益率も昨年の半分未満にとどまるとみられる。
そうした話の筋から、一部の投資家は金融・経済環境が株高を持続的に支えないのではないかと考えている。JOハンブロ・キャピタル・マネジメント・グループのシニアファンドマネジャー、レール・トプクオグル氏は、経済データが強弱まちまちの内容であるとはいえ、市場と投資家はあえて暗い部分を取り上げないようにしていると指摘。株式とジャンク債は裏付けとなる経済ニュースがないまま、お互いの動きを理由に上昇している奇妙なサイクルに突入しているとの見方を示した。
<根強い楽観論>
それでも株式市場ではそのまま進んで大丈夫だという青信号が点灯し続け、ボラティリティも直近の株価最高値局面に記録した低水準からそう遠くない位置で推移している。
アリエル・インベストメンツのチャーリー・ボブリンスコイ副会長は「高利回り債市場は多少相場が上がり過ぎだと心配している。そうは言っても、年内の株価についてなおかなり自信を持っている」と述べた。
クレジットスプレッド(米国債とリスク性債券の利回り差)も、楽観論を生む要素になっている。3カ月物米財務省証券の利回りと10年債利回りが逆転し、景気後退懸念が強まった場面でさえ、ジャンク債のスプレッドは比較的小幅を保ったからだ。サントラスト・アドバイザリー・サービシズのチーフ市場ストラテジスト、キース・ラーナー氏は、これは投資家の不安がそれほど大きくない証拠だと主張した。
スプレッドの縮小が進む中で、特に金融株に注目すべきだと話すのはロイトホールド・グループのチーフ投資ストラテジスト、ジム・ポールセン氏。スプレッドとS&P500金融株指数の総リターンは高い相関性があるが、ジャンク債が新高値を付けたのに金融株が12月の安値からまだ完全に持ち直していないからだ。
同氏は「クレジットスプレッドの動きと比べると、金融株にはなおある程度の上昇余地が残っている」と説明した。
(Kate Duguid、April Joyner記者)