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米FRB、低インフレに警戒根強く 労働市場過熱でも
[ニューヨーク/サンフランシスコ 22日 ロイター] - 米労働市場が過熱する中でも、連邦準備理事会(FRB)当局者の間では、過度に低いインフレへの懸念が根強いことが示された。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁とサンフランシスコ連銀のデイリー総裁は22日、大学の会合に出席し、労働市場の逼迫でインフレ圧力が掛かり、物価高騰に警戒する必要があると指摘。一方で、インフレが過度に低い状態にも同様に懸念があるとした。
これまでエコノミストらは、労働市場が過熱すれば、インフレも最終的に追随すると指摘してきた。ところがFRB内外の新しい研究結果によると、両者の関係は弱まった可能性があるという。
グローバル化や新技術で旧来のインフレ力学が変わったとの認識がFRB内に広まったことをうかがわせる。こうした警戒感も背景に、FRBは1月、追加利上げに「忍耐強く」臨む姿勢を示したとみられている。
デイリー総裁は「インフレは長期にわたって目標を下回り続けている」と指摘。「上向き、下向き両方向に警戒することが重要だ」と述べた。
ウィリアムズ総裁は、物価への上方圧力は現時点で抑制されているものの、1960年代に見られたように低水準の失業率と賃金上昇がいずれインフレ高進を引き起こす可能性に警戒すべきだと述べた。
自身の分析は低水準の失業率によって物価に上振れ圧力が掛かることを示しているとし、「持続的なインフレ高進に対する警戒を怠らないとの見解に賛同する」と語った。
同時に、インフレの力学は60年代とは異なり、たとえ物価が一時的に高騰しても、インフレ期待に根付くことはなく、インフレが適切な水準を超えて持続的に上昇する状況は抑制されるとの認識を示した。
両総裁は、インフレ軌道を維持する鍵はインフレ期待にあるとし、期待は主に経験によって形成されると指摘した。
このため、インフレがFRBの目標(2%)を大きく下回って推移する状況に懸念が示されている。
ウィリアムズ総裁は「インフレ期待が過度に低い水準で推移しないよう警戒する必要がある」「目標の持続的なアンダーシュートによって、インフレを2%近辺に維持する取り組みは損なわれるリスクがある」と述べた。
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