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NY市場サマリー(15日)
[15日 ロイター] - <為替> ドルが値下がりした。サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁が、年内の利上げは不要との考えを示唆し、ハト派的な発言と受け止められた。
主要6通貨バスケットに対するドル指数は約0.1%安の96.901。
ユーロは対ドルで0.05%高の1.129ドル。
デイリー総裁は経済成長の減速に加え、インフレが抑制されていることを踏まえると、米連邦準備理事会(FRB)は年内に利上げを実施する必要はないとの考えを、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで示した。[nL3N20A4PD]
経済成長率が2%、インフレ率が1.9%という自身の予想通りに経済が推移すれば、物価圧力が上向き、成長が加速すると予想することはできないとの考えを示し、そうなった場合「(今年の)利上げの論拠はないと考える」と述べた。
今週発表された指標は、米小売売上高など弱い内容が相次いだ。
ウエストパックのストラテジストは「デイリー総裁のハト派的な発言は他のFRB当局者より踏み込んだ内容と受け止められ、前向きなリスク選好意欲が見られるようだ」と指摘し、「このことがドルを押し下げ、ユーロを押し上げた」と話した。
早い時間帯にはユーロが下落、対ドルで3カ月ぶりの安値に沈む場面があった。欧州中央銀行(ECB)のクーレ専務理事が、新たな貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)の実施について討議していると明かし、材料視された。[nL3N20A47X]
クーレ専務理事はこのほか、ユーロ圏のこのところの景気減速はこれまでの予想よりも強く、幅広いものとなっているとの認識を示し、これによりインフレの道筋は浅いものになることが示唆されていると述べた。
ユーロはこの日幾分持ち直したが、2週連続で下落する見通しで、年初から1.77%値下がりしている。
米国のムニューシン財務長官と中国の習近平国家主席の会談結果も注目された。[nL3N20A4D6]
<債券> 国債利回りがやや上昇した。ただ米経済指標が強弱混交となる中、米金融政策の行方が読みにくくなっており、国債利回りはこのところのレンジの中央付近にとどまっている。
この日発表の経済指標では1月の鉱工業生産指数が前月比0.6%低下し、8カ月ぶりのマイナスとなったほか、1月の米輸入物価が前月比0.5%下落し、3カ月連続でマイナスとなった。[nL3N20A4B9][nL3N20A43Z]この他、前日発表の昨年12月の小売売上高は前月比1.2%減と、2009年9月以来の大幅な減少となった。[nL3N209570]
ただ今月1日に発表された1月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数が30万4000人増加し、18年2月以来の大幅な伸びとなるなど好調だった。[nL3N1ZW4CA]
キャンター・フィッツジェラルド(ニューヨーク)の金利ストラテジスト、ジャスティン・レデラー氏はこのところの米経済指標について「強弱混交となっており、相場をどちらの方向にも動かすものではない」と指摘。「このため相場は膠着している」と述べた。
終盤の取引で10年債利回りは2.666%と、前日の2.659%から上昇。昨年10月に7年ぶりの高水準となる3.261%に上昇したが、年明け以降は2.543─2.799%のレンジ内にとどまっている。
この日は米中が通商問題で合意に達するとの期待感から米株価が上昇。これにより安全資産とされる国債の需要が低減した側面もあった。
来週の市場の注目は20日に公表される1月29─30日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨。この会合でFRBは金利据え置きを決定すると同時に、利上げに忍耐強くある姿勢を表明し、2015年に開始した利上げサイクルが終了した可能性があることを示唆した。
<株式> 主要株価3指数がそろって上昇。米中が貿易摩擦解消に向け通商合意にこぎ着けるとの期待が株価への追い風となった。
ダウ平均とナスダック総合は8週間連続の上昇。S&P総合500は4週連続でテクニカル上重要とされる200日移動平均線を上回った。
米中政府はこの日、北京で行っていた閣僚級貿易協議を終え、来週ワシントンで通商協議を再開する方針を明らかにした。米中双方とも今週の協議で進展があったと主張している。[nL3N20A4D6]
ボーイングや3M、ユナイテッド・テクノロジー、キャタピラーなど、関税に敏感な工業株が上昇し、ダウ押し上げに寄与した。
一方、農業機械メーカーのディアは2.1%安で終了。第1・四半期(1月28日まで)決算は、貿易摩擦を背景とした国際貿易の減速が重しとなり、利益が市場予想を下回った。
レノックス・ウエルス・アドバイザーズの最高投資責任者、デイビッド・カーター氏は米中通商協議について、この先詰めなければならない争点が残されており、まだ終わっていないとしつつも、朗報と指摘。「貿易問題の解消は世界成長を下支えする可能性がある」と述べた。
この日はS&P総合を構成する11セクターすべてが上昇。金利に敏感な金融株は米債利回りの上昇に追随し上昇した。
飲料・菓子大手ペプシコは3.1%高。第4・四半期のオーガニックセールス(為替や買収などの影響を除く売上高)が市場予想を上回った。ただ、2019年利益見通しは予想に届かなかった。
画像処理半導体大手エヌビディアは1.8%高。予想を上回る通期見通しが引き続き材料視された。
フィラデルフィア半導体は0.5%高。年初来では約18%値上がりしている。
アマゾン・ドット・コムは0.9%安。ニューヨークに第2本社の一部を新設する計画を断念したことがなお売り材料となっている。アマゾンを含むハイテク大手5社「FAANG株」はこの日、そろってマイナス圏に沈んだ。
玩具大手マテルは18%急落。2019年の利益見通しが予想を下回り、売上高見通しも低調だったことが失望感を誘った。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を3.66対1の比率で上回った。ナスダックでも2.58対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は70億7000万株。直近20営業日の平均は74億3000万株。
<金先物> 世界的な景気減速懸念などを背景に買われ反発した。中心限月4月物の清算値は前日比8.20ドル(0.62%)高の1オンス=1322.10ドル。米国や中国などで最近発表される経済指標がさえない内容であることから、世界的な景気減速懸念が強まり、安全資産とされる金は買いが先行した。また、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ休止観測も金利を生まない資産である金相場には引き続き支援材料となった。
ただ、米中両国の貿易協議進展に対する期待が広がる中、米株相場が大幅反発したため、安全資産としての金の魅力はさほど高まらなかった。また、外国為替市場でドル高・ユーロ安基調が続いていたこともドル建てで取引される金相場の上値を重くした。
<米原油先物> 石油輸出国機構(OPEC)主導の協調減産の効果への期待などを背景に4日続伸した。米国産標準油種WTI3月物の清算値は前日比1.18ドル(2.17%)高の1バレル=55.59ドルと、中心限月ベースで昨年11月19日以来約3カ月ぶりの高値となった。4月物の清算値は1.19ドル高の55.98ドル。
OPECが12日に公表した月報によると、1月は加盟国全体で日量79万7000バレル(前月比2.5%減)を削減し、協調減産目標の80万バレルにほぼ沿った。また、サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は12日付の英紙フィナシャル・タイムズのインタビューで、3月は自主的に生産量を日量約50万バレル削減する意向を表明。これらを手掛かりにOPEC主導による協調減産効果への期待が高まり、引き続き原油相場の買い地合いを支えた。さらにこの日は、サウジのサファニヤ沖合油田(日量生産能力約100万バレル)が2週間前から一部操業停止に追い込まれているとの報が流れたことも買い材料視されたもようだ。
このほか、米中通商協議の延長が決定され、貿易摩擦解消に向けた交渉の進展に期待が広がったことも原油買いを後押しした。長引く貿易戦争は両国の景気減速やエネルギー需要減退を招く恐れがあるため、妥結に向けた粘り強い交渉継続は投資家にとっては安心材料。この日は米株相場が大幅上昇する中、株と並んでリスク資産とされる原油にも買いが入った。
一方、米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが15日公表した同日までの1週間の国内石油掘削リグ稼働数は前週比3基増の857基。2週連続で増加したが、影響は限定的だった。
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