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トランプ大統領、壁建設へ非常事態宣言 民主党は法廷闘争の構え
[ワシントン 15日 ロイター] - トランプ米大統領は15日、議会の承認を得ずにメキシコ国境の壁建設費を確保するため、国家非常事態を宣言した。民主党は憲法違反として、対抗の構えを示した。
トランプ大統領は「現在の非常事態の重大性」を踏まえ、軍に支援を求める必要があるとの認識も表明。「南部国境は現在、中核的な国家安全保障上の権益を脅かし、国家非常事態を構成する安全保障、人道上の危機にある」と指摘した。
麻薬や犯罪者の流入など、メキシコ国境を巡る問題は容認できないと強調し、「非常事態宣言に署名する」と表明した。
トランプ大統領はこの日、政府機関の再閉鎖回避に向けた超党派の予算案に署名したが、予算案には自身が求める57億ドルの壁建設費が含まれておらず、トランプ氏は非常事態宣言の発令によって最大80億ドルの費用を捻出できると試算する。
ただ非常事態宣言を巡っては、民主党が提訴する構えを見せているほか、共和党内でも見解が分かれている。
民主党上院議員15人は前日、トランプ大統領が他の予算を移し、壁建設費を捻出することを阻止する法案を提出した。
非常事態宣言を受け、民主党のペロシ下院議長とシューマー上院院内総務は直ちに声明を出した。憲法の下で議会に付与されている権利に抵触すると指摘し、「議会はあらゆる手段を講じて、議会や裁判所、公の場で憲法上の権限を守っていく」とした。
一方、一部の共和党員も非常事態宣言に遺憾の意を表明。トム・ティリス上院議員は解決策にならないと指摘。宣言では、十分な国境の壁建設費用を得られない上、訴訟に縛られる可能性があるとしたほか、「左派の大統領が議会を無視しつつ、過激な政策アジェンダを実行するために利用するという新たな前例を作ったことが最大の懸念事項だ」と述べた。
共和党幹部のリンゼー・グラム上院議員などは支持した。
ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は、トランプ大統領がメキシコとの国境沿いに壁を建設する費用を捻出するために国家非常事態を宣言すれば、法的措置を取る姿勢を示した。
トランプ大統領はこうした動きを想定した上で、「私を訴えるべきでない。われわれは最高裁で勝利する」と強調した。