ニュース速報
英中銀、年1回程度の利上げが適切か=ブリハ金融政策委員
[ロンドン 14日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会のブリハ委員は14日、英国経済や世界経済の減速を踏まえると、英国では年1回程度の25ベーシスポイント(bp)利上げが適切となる可能性があるとの認識を示した。
その一方で、年1回の利上げでも多すぎる可能性があるとの見方も示した。1年前は、年1─2回の利上げが基本シナリオだと考えていたという。
同委員はシンクタンクのリゾリューション・ファンデーションで講演し「経済関連のニュースは差し引きで下向きだと判断している。したがって、金融引き締めの適切なペースは、1年前に考えていたよりもやや緩やかになるだろう」と発言。
同委員は(1)世界経済がこれ以上大幅には鈍化しない(2)英国が欧州連合(EU)離脱で移行期間を確保する(3)賃金伸び率が物価に圧力をかける──と想定した場合、「1年に25bp程度の利上げが1回というのが、妥当な基本シナリオに思える」と述べた。
ただ、自身の金利見通しには「かなりの不透明感」があるとも発言。今年に入っても景気の減速が続いている兆候がみられるため、予想通りの展開になるには「多くのことが適切に進まなければならない」とし、「次の利上げについて検討する前に、成長が安定しインフレ圧力が高まっている証拠を待ちたい」との見方を示した。
シティのエコノミストは、ブリハ委員のコメントにより、たとえブレグジットが円滑に進んだとしても、英中銀は8月まで利上げを実施しないという自身の見方が補強されたと言及。「2月の金融政策委員会において、進展が遅いブレグジットやそれに伴う不透明感の増大により政策委員の警戒が強まっているという感触を得たが、ブリハ委員はそれを一段と明確にした」と述べた。
<合意なきブレグジット>
ブリハ委員は英国が合意なしにEUから離脱した場合は、中銀は経済を支援するために政策金利を長期間据え置くか引き下げると予想した。
またブレグジットを決めた国民投票により、英国の国内総生産(GDP)はEUに残留した場合に比べ、現時点で2%押し下げられていると分析。「GDPの2%は小さくなく、400億ポンドに上る」とし、EU加盟に伴う負担金が週間で3億5000万ポンドに達するとの離脱派の主張と対比して「週間では8億ポンドになる」と述べた。
さらに合意なきブレグジット後には一時的な混乱と企業への長期的な損害がどれほどの減速につながるのかが不透明なため、政策判断が困難になると指摘。「われわれが最初に示す方向性が正しくない可能性があり、軌道修正が必要になるかもしれない」と語った。
*内容を追加しました。