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アングル:ESG関連ファンドの発行本数、昨年は過去最高
[ロンドン 6日 ロイター] - 環境、社会的責任、企業統治に配慮する「ESG」関連のミューチュアルファンドおよび上場投資信託(ETF)の発行本数が昨年、世界中で382本と過去最高に達した。
モーニングスターによると、これで発行済みの本数は3160本となった。運用資産は1兆2000億ドルと、2009年の6220億ドルから倍増している。
昨年のETF関連ファンドへの資金流入は390億ドルで、前年の720億ドルから減少した。これは世界的に株価が下落し、投資家心理が悪化したことが一因。
モーニングスターのプロダクト・マネジメント部門ディレクター、アナスタシア・ゲオルギオ氏は「2018年を通じ、幅広い産業でESGが採用されたのを実感する」と述べた。
ただESG、つまり「持続可能」投資はグレーエリアで定義が定まっていないため、投資家が誤った情報に惑わされる可能性が懸念されている。
ゲオルギオ氏は「投資家から見れば、ESG投資を同じ条件で比べられる状態が望ましい」と話した。
世界持続可能投資連盟(GSIA)が採用する「持続可能」投資の基準では、世界の関連資産総額は2016年末時点で23兆ドルに達した。この統計には、明示的にESGをうたっていなくても、投資方針にESGを一部採用しているファンド等も含まれている。
欧州を中心に、この分野の監視改善を求める声は強まっている。
欧州連合(EU)欧州委員会はESGを巡るルールの厳格化を提案。同委員会の高官は「商品タイプごとに違いがあり、『グリーン』度に差がある」と述べた。
大半の資産運用会社は、一部のファンドを社会的責任関連であると明記しているだけでなく、主流ファンドについても社会的責任についての投資原則を盛り込んでいる。
こうした動きを主導する年金基金、政府系ファンド(SWF)、保険会社など大手機関投資家は、ESG関連の投資リスクを十全に評価できる環境の整備を望んでいる。
ファンドの業界団体ニュー・シティ・イニシアティブの調査では、同団体に加盟する企業の90.5%が、何らかの形で投資工程にESG関連の評価作業を組み込んでいる。