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豪王立委が金融機関調査で最終報告、各規制当局の監督を提言
[キャンベラ 4日 ロイター] - 豪金融機関の不正を調査した王立委員会の最終報告書が4日公表された。王立委は報告書で76の提言を行い、この中で銀行セクター改革の一環として業務や健全性などの各規制当局を監督する新たな機関の必要性を主張した。
また、構造的な利害対立を解消するため、銀行に従事する全スタッフ向けの報酬体系を見直すべきとも指摘。
責任を取りたがらない企業の姿勢が銀行業界の問題をさらに悪化させ、補償給付の長期の遅れにつながったとの見方を示した。
最終報告書の公表後、政府は王立委の提言内容をおおむね支持する方針を示した。
1年に及ぶ王立委による調査で発覚した一連の問題を受け、豪金融大手の時価総額は600億豪ドル(434億5000万米ドル)減少した。
王立委の調査では、豪富裕層向け金融サービス最大手AMP
王立委は実態のないサービスで料金を徴収したことなどについて規制当局に訴訟を検討するよう求めた。コモンウェルス銀行
外部の住宅ローン仲介業者へのトレーリングコミッションと呼ばれる手数料の支払い禁止、フィナンシャルプランナーによる販売手数料の開示義務付け、干ばつで打撃を受けた農家に対する延滞利息の徴収禁止なども提言した。
また規制当局と銀行の関係は緊密過ぎたと指摘し厳格に監視するよう求めた。不正行為が発覚しても処罰されなかったり、処罰が不十分だったりしたケースがあったという。
フライデンバーグ財務相は、政府がすべての提言について行動をとると表明。「社会が支払った代償は莫大で、金銭的なものにとどまらない」と述べた。
モリソン首相は提言を重視する姿勢を示す一方で、与信を妨げてはならないとして過剰に反応すべきでないとの考えを示している。
今回の提言は議会での承認が必要となる。
最終報告書の発表に先立ち、4大銀行の株価は軒並み1%前後上昇した。数カ月に及んだ不透明感が解消されるとの期待が背景。
今回の調査でイメージが悪化した資産運用会社の株価は下落した。IOOFホールディングス
野村のストラテジスト、アンドリュー・タイスハースト氏は「マクロの重要な問題として関心があるのは、(報告書が)銀行の貸し出し意欲を一段と低下させるかどうかだ。そうなれば既に圧力を受けている経済にさらなる逆風となる」との見方を示した。
ただ「今の段階ではそうはならないようにみえる。報告書は予想していたよりやや穏当な内容だった」とも述べた。