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アングル:英首相の「新たな離脱対応」とは何か、その勝算は

2019年01月20日(日)08時51分

William James

[ロンドン 17日 ロイター] - メイ英首相は欧州連合(EU)離脱合意案が下院で否決されたのを受け、与野党の幹部と協力して新たな合意案を探るアプローチを提案した。

新たなアプローチの内容や、それに勝算があるかどうかについて、以下にまとめた。

●メイ首相の提案内容

首相は合意案が否決された直後の発言で、全政党の幹部らとの会談を通じ、議会の支持を得られる可能性があって「真に交渉可能な」合意案を探っていくと述べた。早急に進める必要があるとしている。

首相は議会の全政党の党首に会談を求めた。21日に新たな対応について表明すると約束している。

●勝算はあるのか

首相はこれまで貫いてきた交渉の原則を、概ね維持している。離脱派と残留派はそれぞれの立場から、この原則の中の異なる部分を拒否している。

両派がともに尊重し、議会承認に十分な賛成を取り付けられるような方針変更は、1つとしてあり得ない。一方のグループに歓迎されるような変更を行えば、他方の支持票を失うだろう。

●何を協議するのか

首相は協議したい内容をいくつか明らかにしている。首相が「協議の原則」、その他の人々が「レッドライン(譲れない一線)」と呼ぶ、その内容は以下の通り。

(1)合意なき離脱

首相は合意に基づくEU離脱が好ましいとしているが、合意なき離脱の可能性も排除はしていない。

首相が合意なしでEUを離脱したいと述べれば、保守党内のEU懐疑派の支持を得られるだろうが、保守党内の親EU派および、ほぼすべての野党の支持を失いそうだ。

合意なき離脱を排除すれば、野党労働党および、保守党内の親EU派の支持を得られる可能性が出てくるが、保守党内の離脱派は反対するだろう。離脱派は、合意なき離脱をちらつかせることは、EUとの交渉における重要なカードだと主張している。

(2)離脱延期

首相は、英国法で定められた3月29日の離脱を望んでいる。

延期を試みれば、保守党内のEU懐疑派の支持を失う一方、野党の支持を勝ち取れる可能性が出てくる。もっとも、これだけでは野党の支持を得るのに十分ではないだろう。

(3)アイルランド国境問題巡る安全策

首相は、EU加盟国アイルランドと英領北アイルランドの国境問題を巡るバックストップ(安全策)についてEUと合意した。安全策は、国境に検問所などを復活させるのを避け、20年以上にわたって北アイルランドの平和を保ってきた和平合意を尊重するものだ。

安全策を盛り込んだことで、首相は閣外協力していた北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)および、保守党内のEU懐疑派議員の大半の支持を失った。

首相が安全策の撤廃、あるいは変更に成功すれば、DUPと保守党内の多くの批判勢力から支持を取り付けられるかもしれない。しかしアイルランドの利益を守りたいEUは、安全策なしの合意はあり得ないと訴えている。

(4)人の自由な移動

首相は、英国が国境、法律、資金を管理できるような合意案しか認めないとしている。つまりEUからの自由な人の移動と、欧州司法裁判所による司法権の行使、EUに対する加盟費の支払いを止めるということだ。

人の自由な移動を止めるという要求を取り下げれば、EUの単一市場に留まり、ノルウェーのような対EU関係を保つ「穏健な」離脱の道が開かれる。

この案は保守党内の親EU派議員が支持する可能性があり、野党議員の一部からも支持を得られるかもしれない。しかし、これは「真のブレグジット」ではないと訴えている保守党内EU懐疑派の票は失うだろう。

(5)独立した通商政策

首相は、英国は諸外国と自由に自由貿易協定を結べるようにすべきだと訴えている。これは事実上、英国がEU関税同盟に留まったり、EUとの間で新たな恒久的関税同盟を設立する可能性を排除する考え方だ。

この方針を変えれば、野党労働党の要求項目の1つを満たせる。しかし保守党EU懐疑派、その他の一部議員は、英国は自らが影響を行使できないルールに縛られることになるとして反対しており、これら議員の票は失われるだろう。

ロイター
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