ニュース速報
インタビュー:市場は神経質な反応、経済の足元しっかり=財務次官
[東京 21日 ロイター] - 財務省の岡本薫明次官は21日、ロイターのテレビインタビューに応じ、長期金利低下や株安など直近の市場の動きについて、米中貿易摩擦や米利上げを受け、非常に神経質な反応となっているとの認識を示した。
ただ、日米は足元で経済指標がしっかりしており「これからの経済政策で流れをしっかりと作っていくことが大事」と述べた。
長期金利の低下については「金融政策の流れの中で、長期金利が非常に低い水準になっていることは確か」とした上で「これが、金融機関の収益が厳しい状況の要因になっていることはその通り」と語った。
デフレ脱却の時期については「どの時点か言うことは非常に難しい」としながらも、「いろいろな良い動きが出てきている中で、これを好循環につなげてしっかりとした状況を作っていく」と述べた。
岡本次官は「すでにデフレと言う状況ではなくなっている」と指摘。日本経済は、アベノミクスの政策効果で企業収益や雇用情勢が改善するなど「良い流れになっている」とし、来年度予算を含む政策をしっかりと進めることで、デフレ脱却につなげたい考えを示した。
政府は、デフレ脱却を判断する4つの指標として、消費者物価指数(CPI)、GDPデフレータ、需給ギャップ、単位労働コストを挙げている。
税収で国債費を除く政策経費をどれだけ賄えるかを示す国の基礎的財政収支(プライマリーバランス)は、2025年に黒字化する目標を掲げている。
岡本次官は、経済回復に伴って税収が上向きとなる中で、高齢化に伴う社会保障費の伸びを抑制する努力をすることで、プライマリーバランスは着実に改善してきていると指摘。「税収増加がプライマリーバランスの改善、公債発行の抑制につながっており、来年もつなげて行きたい」と述べた。
また、来年の消費税率引き上げや3年間で行う社会保障改革をしっかり行うことで「2025年のプライマリーバランスの黒字化をしっかりと目指したい」とした。
2019年10月には消費税率を現行の8%から10%に引き上げる予定。現状、消費税率を引き上げられる経済環境にあるかどうかを問われ「足元はしっかりとした動き。緩やかな回復基調にあるとみている」と述べた。安倍晋三首相は、消費増税は「リーマン・ショック級の出来事がない限り、予定通り行う」としている。
さらなる消費税率引き上げの必要性について岡本次官は「3年間の社会保障改革をしっかりと行うことで、給付と負担のバランス、保険料をどう考えるかで、今後の議論になってくる」と述べた。
日本企業のコーポレートガバナンスについては「近年、格段に進んできている。グローバルに評価される流れに沿ったものになってきている」と指摘した。
*見出しを修正しました。
(清水律子)